御手洗君と石岡君、京都迷走中
時代設定が、昭和11年前の事件を、ほぼ40年前といっているところから、昭和50年代と考えられる。

著者・島田氏のデビュー作品だから、物語の設定自体も時代は遡る、のは当たり前だ。
時代が数十年分しか変わらなければ、それをついつい忘れてしまうのは読者の悪い癖なのだ。
これがいっそ明治大正以前なら、錯覚することなどないのだけれど…。

何を言っているかといえば、京都市内を御手洗君と別行動で探索する石岡君に関してのことである。
西院から河原町へ出る、電車のホームに陽がさして…という記述で「へ?」と引っかかってしまった。
西院(西大路四条)から四条河原町への電車と言えば、阪急電鉄しかない。
そして阪急電鉄は、西京極から東へ走ってすぐに地下に潜るのだ。
つまり地下鉄。
なんで陽がさすの〜?……昭和50年代と言うことを忘れていた。
私が中学・高校の頃は、ふつーに大路を市電が走っていた。
つまり、これは市電の話なのだ。はい、納得しました。了解です。
失礼致しました〜(笑)


昔すんでいた鹿ケ谷…は、哲学の道のすぐ上、10Mほどしか離れていない。
鹿ケ谷と言えば、平家物語の方が有名だけどね。
一度も入らなかった某喫茶店が昭和50年代には既に存在していた…と知ったのもちょっと驚きだった。

ルンペン染みて、野良犬ですら逃げ出してしまう風体の御手洗君が走り回ったのか…あの場所を。

名前の高貴さに似合わずいきなり駅前に夜のお店♪が立ち並ぶ、なんて赤裸々に描写されている大阪・香里園には友人が住んでいる……ので、つい噴出しそうになるし。

上新庄…は勤め先の倉庫がある。
当時は、淀川に接した鄙びた場所も多く残っている、と描かれているが、その通り。
倉庫をそこに設置したのは、地代が安いのと、危険物・劇薬などを扱う関係上、人気のない場所をさがしたからだ。

………なんて。
地元が舞台だと、現状と比較できて非常に楽しいねぇ♪

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「読者への挑戦」
が、パート1だけでなく、パート2も在るのがおかしい。
島田氏も、デビュー作ではこんなことを…と微笑ましく想った。
あの、ひねくれた発想と事件と謎解きと、それをうわまわる、性格のねじれた探偵を書いている作者が…!

うん。
最後の方になると、もしかして…とは思ったけど。
一人足りない〜?ってお菊さまか(笑)
(この場合は一人多い〜♪が正しいのか?)

島田氏の小説は後の作品は想像も推察も追いつかなくなるからなぁ〜。
最初だけでも分かってよかったのかも。

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