サラディンの日

2006年12月21日 読書
頃は十字軍華やかなりし頃。
舞台は中東(つまり、現在のイスラエルとかレバノンとかその辺だ)
登場するのは、十字軍の華・修道騎士団。

主人公のユーグ・ド・モンフォールはフランスの貴族の次男坊である。
ゆえに、家を出て、出家するか、騎士として身を立てるか、選ぶ道はどちらかしかない。

叔父で商人であるジャンに幼い頃からしたがって、遠く中東へも足を踏み入れ、そのまま神に使える騎士となった。
修道士(お坊さん)にして騎士(というなんだか矛盾しない〜?)となり、ムスリムとの戦いに明け暮れる毎日であった。

彼の所属するのは、『ダ・ヴィンチ コード』で一躍有名になった<テンプル騎士団>である。
ヨーロッパの金庫番といわれ、後に異端の汚名を着せられて、拷問・火あぶりと<13日の金曜日>という忌まわしき言葉を生む元と成った大弾圧によって潰滅する騎士団である。
それもこれも、その莫大な財宝に目をつけたフランス国王が教皇を抱きこんでおこした冤罪であると言われている。

ま、とにかく、それは後の話。
我らがユーグが没した随分先の話になる。

聖地を守る騎士団にはほかに、ヨハネ騎士団(聖ヨハネ病院から発展。医療に強い)
チュートン(ドイツ)騎士団(ドイツ語圏の巡礼の保護)

があって、この3騎士団がエルサレム王家の戦力となりキリスト教の力強い守護となっていた。
そう!
驚くべき事に、この時代、エルサレムにはキリスト教の国がちゃぁんとあったのだ!(知らんかったー)(笑)
無理やり立てた国で、王と言っても頼りにならないへなちょこな王様だったけどね。
だからこそ、修道騎士団の存在は大きかったのだ。

俗世の癖が抜けない(美人のオバサンにどきどきする)ユーグ。
同じテンプル騎士団所属の(頭のがちがちに固い、船酔い体質の)ニコラ・ド・クレマンジュ。
ヨハネ騎士団の(流石イタリアン!な)パオロ・アルベルティ。
この三人は決して仲も良くはないのに、何故にか特別に選ばれて、単独で作戦行動をする羽目に。

?イスラム軍に包囲され、ガザに立てこもる市民と○○を救出に
?エルサレムへ向かう英国王・リチャード獅子心王の影からの警護
?オーストリアでとっ捕まって身代金を要求されている英国王・リチャード獅子心王の身代金の警護

などという、普通では出来ない(?)栄誉と任務を3人セットで命令されるのだった…

もしかしなくても、雑用係…?

こんなに苦労して手に入れて守った聖地であったが、キリスト教の支配下では長くはなかったわけである。

騎士団は中東から吐き出され、キプロスに本拠地を構えることになる。
中東を、その聖地を本拠地としていたテンプル騎士団はその根を下ろす場所を求めてヨーロッパ本土へ眼を向け、やがてそれを危機として捕えたフランス王などによって(財宝目当ても大きかったろうが)異端の汚名を背負っての潰滅という、非業の最期を遂げることになるのである。

ISBN:4253176011 文庫 青池 保子 秋田書店 ¥590

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