動物と向きあって生きる―旭山動物園獣医・坂東元
2006年11月26日 読書
これからの子供たちのために、いや、子供たちにわかって欲しい、日本と世界の未来を、地球を救うのは子供たちだから。
…という思いが吹き寄せてくるような本である。
著者は、言わずと知れた、北海道旭山動物園の副園長にして獣医、そして旭山動物園のHP ⇒ ⇒ (http://www5.city.asahikawa.hokkaido.jp/asahiyamazoo/)
の日記の著者、坂東氏である。
HPの日記を読んだ時は気がつかなかったけれど、かなりぎりぎりと"突っ張った"状況で旭山動物園は走っているんだなぁと、ちょっと驚いた。
その動物園としての"野性を見せる"姿勢にまだまだ批判の嵐が叩きつけていようだなんて思わなかった。
その姿勢を理解しているからあれだけの入場者数になるのだと、私も思っていた。
が。
現実は、単純ではない。
この人は。
最初の生い立ちの話などを読んでいると「うわ、これは…」とちょっと引いてしまう部分もあるのだよね。
正直に言えば。
だけど、それは本を読んでいくとこの人の人となりが分かってくるから「さもありなん」と思う。あるいは些細なことだと感じてしまう。
それぐらいに強烈な人だと思う。
そして、なによりも、<正直すぎる>
だから、(野生動物にするように)素のままで相手に当るから、一所懸命表を飾っている相手は、虚飾がはがれて生身がばれて、焦ってしまうのだ。
私も然り。
読んでいてのなんともいえない、お尻の辺りがむずむずする感触は、その辺から来ているのではないだろうか?と思ったりする。
旭山動物園が「野性」を「見せる」のであれば、今の日本人の動物に対する感覚は反省し、変更してゆかねばなるまい。
テレビでは、アフリカのドキュメントで、親を失ったり怪我をした野性動物の子供を、ただ見守るだけのスタッフがいる。
彼らは肉食獣の餌となる運命であると、分かっていても手を出さない。
いまでは堂々と、そういう行動を見せ、何故そうするかを語る番組を多い。
だから、日本人もわかっているはず…と思っていたのは私だけ?
大自然はそんなに甘くない。
人間が足を踏み込めるようなところじゃないだろう…。
速攻、ヒグマのご飯になります。
でも、知床で観光客がヒグマに餌を与え、ヒグマもそれを食するのが現状であるというから(おそろしいことに!)、餌をもらう為に、ヒグマが人家を訪れる、ということはもう奇異な話ではない。
ヒグマなんて…遠くから姿を見ただけで「こわい!」と感じ、脱兎の如く逃げ出す相手でしょうに……。
こっちは「かわいい」と思って見ていても、向こうは「ご飯♪」と思ってこっちを見ているのです。
キタキツネがブームで、異様に人間なれした時期、なんと家の中まで入り込んでいたそうだ。
で、そのかわいーかわいーされていたキタキツネが何をしたかといえば、「子供の餌にその家の飼い猫をくわえて帰った」とのこと。
ほら。
野性ってこういうことだよね。
ISBN:4046210826 単行本 あべ 弘士 角川学芸出版 ¥1,470
…という思いが吹き寄せてくるような本である。
著者は、言わずと知れた、北海道旭山動物園の副園長にして獣医、そして旭山動物園のHP ⇒ ⇒ (http://www5.city.asahikawa.hokkaido.jp/asahiyamazoo/)
の日記の著者、坂東氏である。
HPの日記を読んだ時は気がつかなかったけれど、かなりぎりぎりと"突っ張った"状況で旭山動物園は走っているんだなぁと、ちょっと驚いた。
その動物園としての"野性を見せる"姿勢にまだまだ批判の嵐が叩きつけていようだなんて思わなかった。
その姿勢を理解しているからあれだけの入場者数になるのだと、私も思っていた。
が。
現実は、単純ではない。
この人は。
最初の生い立ちの話などを読んでいると「うわ、これは…」とちょっと引いてしまう部分もあるのだよね。
正直に言えば。
だけど、それは本を読んでいくとこの人の人となりが分かってくるから「さもありなん」と思う。あるいは些細なことだと感じてしまう。
それぐらいに強烈な人だと思う。
そして、なによりも、<正直すぎる>
だから、(野生動物にするように)素のままで相手に当るから、一所懸命表を飾っている相手は、虚飾がはがれて生身がばれて、焦ってしまうのだ。
私も然り。
読んでいてのなんともいえない、お尻の辺りがむずむずする感触は、その辺から来ているのではないだろうか?と思ったりする。
旭山動物園が「野性」を「見せる」のであれば、今の日本人の動物に対する感覚は反省し、変更してゆかねばなるまい。
テレビでは、アフリカのドキュメントで、親を失ったり怪我をした野性動物の子供を、ただ見守るだけのスタッフがいる。
彼らは肉食獣の餌となる運命であると、分かっていても手を出さない。
いまでは堂々と、そういう行動を見せ、何故そうするかを語る番組を多い。
だから、日本人もわかっているはず…と思っていたのは私だけ?
ホッキョクグマがプールに飛び込むのを見て、「かわいい」と思うのだ。何のために動物園に来るのかといえば、動物の中にペット的な"かわいさ"を見つけるために足を運ぶ。それが実情なのかもしれない。こんなことをしていたら、今度は動物の"かわいさ"を見つけるために大自然の中に足を運ぶような事態になりかねない。
大自然はそんなに甘くない。
人間が足を踏み込めるようなところじゃないだろう…。
速攻、ヒグマのご飯になります。
でも、知床で観光客がヒグマに餌を与え、ヒグマもそれを食するのが現状であるというから(おそろしいことに!)、餌をもらう為に、ヒグマが人家を訪れる、ということはもう奇異な話ではない。
ヒグマなんて…遠くから姿を見ただけで「こわい!」と感じ、脱兎の如く逃げ出す相手でしょうに……。
こっちは「かわいい」と思って見ていても、向こうは「ご飯♪」と思ってこっちを見ているのです。
キタキツネがブームで、異様に人間なれした時期、なんと家の中まで入り込んでいたそうだ。
で、そのかわいーかわいーされていたキタキツネが何をしたかといえば、「子供の餌にその家の飼い猫をくわえて帰った」とのこと。
ほら。
野性ってこういうことだよね。
ISBN:4046210826 単行本 あべ 弘士 角川学芸出版 ¥1,470
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