詩を愉しむ  「六甲山房記」より
短い言葉の中に、大宇宙が秘められている。

詩を詠むことは、宇宙を作ること。

そしてその宇宙に、我が身を委ねるのもまた楽しい。

羅浮山下四時春   羅浮(らふ)山下、四時の春
盧橘楊梅次第新   盧橘(ろきつ)楊梅、次第に新たなり
日啖茘支三百顆   日に茘支(れいし)を啖(く)らうこと、三百顆
不妨長作嶺南人   妨げず、長(とこし)えに嶺南の人と作(な)ることを

                      -蘇軾-

あの、高価な、茘支がおなか一杯食べられるなら、ここ(左遷先なんだけど)の人間になってもいい!
…という詩だけれど、茘支の食べすぎは糖尿病になりますぜ。

葡萄の娘への弔辞(ナーメタージーア)を書けば
友みな睫より流す血の涙
酒肆の門は閉じられても神よご安心を
虚偽(タズウイール)と偽善(リャー)の店の門が開かれますから

           ー14世紀・ハーフィズー
    (ムヴァーリッズ・ウッディーンの酒場閉鎖令発布に対して詠んだ詩)

よき晨(あさ) 我が耳に届きたるふしぎの声
シャー・シュジャーの世ぞ、酒は遠慮無用
識見ある人 千万の言葉を呑み
口とざし世にかくれし時代は終わりぬ

               -ハーフィズ-
           (酒場解禁令の発布に対して詠んだ詩)

イスラームでも、歴史上はいろいろ…そしてこの開放感は、戦後の言論と発言の自由がもたらされた時と同じだろうと著者・陳舜臣氏は語るのであった。

   葡萄の娘への弔辞(ナーメタージーア)を書けば
   友みな睫より流す血の涙

……そうですか。
血の涙を流したんですね?
凄まじいですねー。
同じ禁酒令でも、アメリカ人はどんなふうに心情を吐露したんだろうか?(ピストルと機関銃以外で)

コメント

お気に入り日記の更新

テーマ別日記一覧

最新のコメント

日記内を検索