日本で大学で教授として働く中国人女性が、なんで日本(人)と中国(人)は、こんなに分かり合えないのか?、すれ違うのか?、を自分なりに考察した一冊。

てっきり男性だと思い込んでいた…顔写真を見て女性だと気がついたぐらい。
中国人男性にしては、遠慮した物言いをしているなぁとは思っていたんだけど。

いや。
中国人女性が大人しいとか引っ込み思案なんてことはとてもとても言えませんがね。(夫婦喧嘩は大抵奥さんが勝つような国だ)

一言で言えば、
?日本は、感性の国。
 死んだら皆、仏。
 生前の善悪は関係なし。
 ましてや、祖先の行為を子孫に償わせるというのは、やりすぎ。

?中国・韓国は理性(儒教)の国。
 善か悪か、ただそれだけ。
 例えば…村人を人質に取られて、海賊の頭領の手当てをしたチャングムは、その後役人に逮捕された。なぜなら、海賊(=悪)を助けたから。理由は関係ない。やったことだけを処罰する。

 また、太平洋戦争当時に日本軍に味方した"裏切り者"を いぶりだして 調査して、本人が亡くなっていたとしてもその家族から財産一切を没収するという法を定め、現在、もう動き出しているとのこと。(おそろし〜)

こんな両国だから。
国際的に、手を取り合うのは難しい。
確かにね。

韓国は中国の<よき生徒>だそうで、儒教に関してはそのまんま受け継いで、キビシク社会を律しているそうだ。(最近の若者を見ていると、? だけどね)
だが、儒教は宗教ではない。
あくまでも、社会倫理である。
共産党の高級幹部を育てる北京の大学では、四書五経が必須科目になっているという…。
そうか、そうやって、儒教倫理で日本を攻撃してくるわけであるな。

日本人の特性である判官びいきも、中国・韓国の儒教思想では考えられないそうだ。
善か。
悪か。
その人が、どうだったか。
それだけ。
だから、自国を侵略しようとした敵である元寇の慰霊碑を、鎌倉幕府が建てたというのも理解しがたいのだそうだ。
さもありなん。

ああでも、同時に、沖縄に立っている戦没者慰霊碑は、<日本人><強制連行された中国人・韓国人など><攻撃側のアメリカ人>が並んで慰霊されているという。
それはいいんだって。
すべてを、恨みを忘れて、皆平等に扱う。奉り、拝む。
………それは、いいのか。

日本人の私は、理性=儒教、と断じて正しいとするその思想の方が相容れない。
逆に、そのほうがおかしいとすら感じる。
中国・韓国の儒教思想は、西洋の合理的思想とほぼ同じである。
では、日本だけがおかしいってことに(笑)なるわけだけど、そもそも、世の中には、世界には、善か悪しかない、という考え方こそが、狭量ではないかと思う。
その間…ああ、そこが、外国の方が言うところの、<玉虫色>とか<グレーゾ−ン>とか、そういわれるところなんだろうね。

著者曰く、それは日本人が自然のなかに生きているから。
自然を、動物たちを、他の生き物すら、自分達と同じであると感じているから。
だから時世の句も自然を詠む。
親への考が足りませんで云々…という詩(遺書・遺作)にはならない、日本人は。
中国人なら親や国家に対する忠孝が云々…という詩になるという。

たとえば、禅の悟りも、"自分の内面で悟る"もの。
つまり、自分が自然のなかに身と心を置いて、自分だけで悟るものだからだという。
だから日本でここまで発展したのだと言う。

ただし、この本は、
日本という国は実に変わっている。
特異性がある。
だから、直しなさいよね、というのではない。

こんなに考え方が違うのよ。
だから食い違うのも尤もなのよ。
両方とも、そこんとこ考えないと、話はつかないわよ。

……そういいたいのだ。

ああだけど。
違うなら、どっちが歩み寄るか、妥協するか、それを強く押し付けるのも、またこれ民族性というか、特異性ということになるんだろうね。
相手に変わる(変身する、そして、変心する)ことばかり要求する。
強く言うほうが勝つ。

そういうのが、どうもねぇ…。
西洋式に外交をするなら、そうあるべし!というのも、なんだかなぁ。

それに。
今や、カネカネカネ…で自分の足元を見ていないのは、日本だけじゃないしなぁ(笑)
それも、自分が恥じることをしていない…で金儲けをしているんだから、善なのだろうか。
貧乏(人)なのは悪なのだろうか。

いまいち、納得のいかない読後感であった。
別にいいけど。
ひとそれぞれだし。
国それぞれだし。

それに、そんなに摩訶不思議で変わった考え方であり風土であり国民性であるというのなら。
いっそ"世界遺産"とか、完全なる保護をしたらどうよ?
O氏が言うところの「憲法第九条を世界遺産に!」と込みでさ(笑)

なんだか、冗談ですまなさそうだけど……
地球上の孤児・日本人?

ISBN:4022731087 新書 王 敏 朝日新聞社 ¥756

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