久しぶりだが、夏彦節。
相変わらず捻っているというか、ひねくれているというか。
さっと読んで分からない。
もう一度読んで首を捻り、再度読んでも深いところの真意は掴み損ねたような気になって、それでも面倒だから(笑)先に進む。

そういう本である。
書いていることは平易な、今でいうエッセイなのだが。
ちなみに、エッセイというのは書き手の考えが入らないとダメである。
それに(当時は)猫も杓子もエッセイエッセイとかしましいのでコラムと名づけた、とは夏彦氏の言。
エっ?それではコラムには考えがなくてもいいんですか?
と問えば、
コラムだって考えは必要だ。
と仰る。
仰ることが矛盾しているのでは…?
すべからくコレである。
分かっていて、仰っているというから始末が悪い。
そこがこの人の魅力なんだろうけれど。

編集は阿川佐和子氏。
檀ふみ氏とともになにやら本を出していたのは知っているが、未読。
ところで、このかたは"あの"阿川広之氏の令嬢なんだって…知らなかった。
阿川氏といえば、作品でというよりも、珈琲のCMが強烈に印象に残っているお人だ。作家に対して、とっても失礼な言い方だけど。(遠藤周作氏しかり。ああでもこの人の「海と毒薬」は映画で見てショックだった。その印象の方が強いか)

山本夏彦氏は、わざわざとひねくれたことをいい、相手の表情を見てわざと怒らせるようなことをいい、試すようなことをいい、と、相手をするには聖人君子、いな、感情に囚われない仙人でもない限り無理だったじゃなかろうか。
…と思う。
私には無理だなぁと。

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実は、もっているのを長いこと忘れていた。
昨日ぽろりと机の端から出てきたので、とりあえず病院へもってゆく。
火曜日は魔の火曜日。
通う病院の外科外来は、幽鬼のような外来患者で溢れている。
点滴用薬の作成に手間取って、予定時間を1時間軽くオーバー。
治療室のベッドの上で、8時50分〜14時20分まで寝ている羽目に。(点滴の堕ちる速度は超スローに)

その間…時々うとうと船を漕ぎながら、読了してしまったのだった。

私はこの本を、病院臭と辛い治療の思い出の一環として記憶するんだろうなぁ。
きっと。
本には不本意だろうけど(笑)
私だって不本意だから、傷み分けだ。


ISBN:4101350183 文庫 阿川 佐和子 新潮社 ¥500

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