必ずしも列車内で殺人が起こるわけではないという西村京太郎サスペンスである。

寝台車ではない夜行列車…というのは、夜行バスの列車版。
ただし、歴史はこっちのほうが古いはず。

東京を夜の11時過ぎにでて、終点の新潟には夜明け前(たぶん)に到着。
そう、ちょうど今頃?いや、もうちょっとだけ(30分ぐらい)前かな?

そういえば、大阪〜東京間を繋ぐ夜行列車(たぶんこっちは寝台車)、銀河ってのもあるね。
新幹線の最終より随分あとに出発して、翌朝7時過ぎに到着なら御の字。
利用客はバスに取られて減っているが、情緒は列車のほうがあるはず。

東京での大学生活を終え、故郷の新潟に帰ろうとする若い女性と、ついうっかり殺人を犯し、故郷の両親のもとに帰ろうとする若い男。
その二人がたまたま同じ列車に乗り合わせてしまった。
ただそれだけの、ことで、終わるはずだった。
本当は。
そして…姿を消した。
二人ともが。

女性は私立探偵が。
男性は警察が。
最初は別々に、二人の捜索が行われるのだが、やがてひとつの接点が見つかる。

ちょうど例の中越地震の後の頃に舞台が設定されていて、犯人たちが逃げ回り潜伏するのが崩壊し無人となった山中の村々である。
山古志の名前も出てきて「まだ通行止め」という哀しい科白も並べられる。
生活の基盤を失った国民に、この国は本当に冷たいということをひしひしと感じるのであった。
阪神大震災も、まだ復興はしていない、と言われるように、この国の人々は「喉もとすぎれば忘れる」民族性がいい場合もあり、悪い場合もありで、この場合最悪の方向に働いているなと思わずにはいられない。
殺人の動機も、地震ですべてを失った両親への思いである。
でも…。
成り行きで殺人、だから殺人をしたという慄きとか、恐れとか、そういうものが欠如しているのは、人間として許されない。
いくら両親を思ってのこととは言え、それを許すわけには行かない。
相手が人非人だからといって、自分が人非人になって許されるというものではなかろう。
まして、その後の行動が!
罪を重ねることに躊躇がないのが、なんとも恐ろしいけど、今時なのかな?

ひとさまの、何年も掛かって必死で稼いだお金を、騙し、脅し、楽して掠め取ろうとするのはどういうものだろう。
それが上手くいくのが、すなわち自分の"才覚"だと勘違いし、自分は"賢いのだ"と錯覚し、居丈高にふんぞり返るのは。
でも、犯罪者ってそんなもん。
そんなもん(人間)だから、犯罪者になるんだし。

あぶく銭は身につかない。
たまには日本昔話でも読んでみたら良いのに。

さてさて。
寝台車の話である。
私は寝台車には何度か乗ったことがある。
別に威張ることでもないが。
水俣(熊本)〜京都間である。
随分昔の子供のころのことだし、"テツ"じゃないので、列車の名前も構造もなにも知らない。
ベッドは3段のものと2段のものがあった。
3段の時は、進行方向に垂直。
2段の時は、進行方向と平行にベッドが作られていた。

嗚呼、思い出深い…。
朝方だったかな?いや。夜か?
食堂車でごはんを食べたら気持ち悪くなって吐いたのだった。
揺れが酷かったのかどうか…とりあえず"酔い易い"子供だったから、列車内での飲食は無謀だったかもしれない。
メニューはハンバーグステーキだった。

高校生になったらさすがに思慮深く(?)なって、また乗り物への耐性もできてきたのか、ベッドでお弁当をぱくついた。
鳥の丸焼きだった……。

食べたものはよく覚えているものだ。
たとえ戻したとしてもだ。

寝台車ではない夜行列車は…乗ったことがない。
この"えちご"のような列車は。
夜行バスは何度か乗った。
行き先はTDLである。
大人だったので、車酔いはなし。
ただし車中の飲食もなし。(笑)
だって眠いんだもん。

あとは、中華人民共和国の寝台車に3度乗っている。(幸か不幸か)

?宜昌〜武漢間の1泊。
 学生時代だったので元気があったからまだ良かったね、という旅。ポットにお湯が、カップに茶葉がサービスでありました。
上下2段だけど、登るのは…とっても大変。
小さな取っ掛かりしかない。
そこに足を引っ掛けてアクロバットのように身体を持ち上げるのである。
いや、まじで。
それでも三峡下りの船よりは眠れたな。(船は、真夜中にすごい勢いで、トランクがど〜んと倒れるぐらいの揺れで飛ばすので、怖かったし、外国人用の船でもなかったので、いささか寝づらかった)

?北京〜大同間の1泊×往復。
 フランス人の小団体と一緒になる。
下手な中国語で「何時に大同に着く?」と聞いてくるのでなにをいっているのかさっぱりであった。
「What?」でようやく「You can speak english!」と目一杯驚かれたので「I’m japanese」といったら余計驚かれた…なんでや?
仏蘭西よりは日本のほうが近いんやで。
中国は。
一応お隣さんやしな。

同室のフランス人(女)がほかのコンパートメントに遊びに行ったまま夜中を過ぎても帰ってこないので、同室の中国人のおじさんと相談し(言葉は通じないがなんとなく…)鍵をかけて寝た。その後ノックも煩く帰ってきたのはフランス人男性だったけど。(さてはアジア人ばっかだから交代させられたな?)
荷物棚はベッドよりも高いところにあるのでトランクなんかとてもとても持ち上げられたものではない。
仕方がないので足元においとこうとしたら、同室の中国人男性が上げ下げしてくれた。
優しいな〜♪
お茶葉のサービスは無し。
お湯だけあって、あとは自分で用意しろと…おのれ……。

?そして…真昼間に特急代わりに乗せられた(つまり寝台車としてではなかった)のが、上海〜杭州間。
これはぎゅーぎゅーに詰め込まれたので、快適とはいいがたかった。
お茶葉もお湯も無く、込みで有料。

あと、寝台車ではないけど、中華民国、すなわち台湾で特急に乗っている。
台南〜台北間。
特急で指定席なのに…都会(台北)が近づくと通路に一般客が立ち並び、トイレにすらいけない状況になってしまった。
平日なのに。
お昼なのに。
何故?

あとは、仏蘭西でバスの車窓からみたTGV…乗ってみたかったな…。
いや、私、別に"テツ"ではないです。
これぐらい、普通の感想でしょ?

せいぜい、トワイライトエクスプレスで北海道…!
とか、ず〜っと夢みているぐらいだし。

ISBN:4396208170 新書 西村 京太郎 祥伝社 2006/09 ¥860

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