これまた家人から回ってきたレンタル本である。

西村京太郎は、父親が好きだった。
…というか、旅が好きな父親だったから、列車で日本国中を走りまわるのが趣味に合ったんだろうと思う。

今は母が読んでいる。

十津川、というのは関西では普通に読む地名だが、まあ珍しいといえば珍しいのかもしれない。
普通といってみても、私だってまだ行ったことはない。
行ってみたいとは思っているが。(随分不便だというし…)

だいたい関西(近畿地方)では、和歌山や奈良の県境あたりは非常に行きづらいので困る。
和歌山なんて、大阪から紀伊水道〜太平洋沿いにぐるぅりと回らなきゃならん。
白浜は昔から有名な海水浴場だが、ぐるうぅりのおかげで随分遠い。(京都からは)
特急はいつも満席で大変だー。
…とはいえ、このJRの特急から見る太平洋の光景は、とっても素敵。
迫力がありすばらしい。
列車の混むのも仕方がないといえば仕方がない。
JRというのは、本当に、すばらしい景色のところに線路を通しているから、「おおっ!」と声を上げる景色って多いんだよね。
さすが、国有!というところ。
力技で線路を敷きまくった、という感じかな。

行きづらいのに行く。
その理由はこの景色だ。

さて、今回は津軽、というぐらいだから、東北である。
十津川警部が右腕として頼りにするカメさんこと亀井刑事が事件に巻き込まれる…最有力容疑者、しかも殺人容疑で。
ことの起こりは甥っ子の結婚式に有給休暇をとって東北に向かったカメさんが誘拐されるところから始まるのだが。

見事なまでに罠に、しかも二度もはめられて身動きならないカメさんを、十津川警部ほか警視庁の仲間達は救えるのか?

しかし…十津川警部が冤罪を晴らそうとやっきになって走り回るその時々に、警察という組織の"身内意識"とか、"内々での決まりごと"みたいなものが見え隠れしているのが面白い、というかリアルだなと思った。
地方の警察署をたずねてみれば、「身内のことで相談が…」といった十津川警部に、速攻「交通事故ですか?」と声を潜めて(そのように感じた)たずねる。

ほぉ〜?ふぅ〜ん?

身内の交通事故だと、どーだとゆーのだろうか?
そのあたり、聞きたかったりして。

死亡事故でなければ、たとえひき逃げ事故で怪我をしても被害者に向かって、
「アンタが自転車で車に突っ込んだんだろ。」
  (自転車は真後ろから追突されているのに?)
「あんたが悪い。」
  (車はスピード違反でブレーキ痕もないのに)
などと、交通事故はなかったことにしようとする警察とか。

車同士が僅かに擦った接触事故で、相手が女性だと知ると家まで押しかけて脅しをかけ、修理代をぼる(ふっかける)人間が、実は元警官で、間にたった警察とは
「修理代をふっかけてやれ!」
などといいながら話を進めていたとか。

そういう話は身内と友人から見て聞いてますから、知ってましたけどね。

十津川警部の活躍で、カメさんは無事に冤罪も晴れてヨカッタヨカッタ…で最後の"オチ"はすとんと落ちてあっけないぐらい。

推理的には意外性もあり、楽しめた。

ISBN:433474107X 文庫 西村 京太郎 光文社 ?560

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