表紙はテレビアニメでもあった。
「キャスバルにいさぁ〜ん!まってぇ〜!」
とセイラが追いすがるのにシャアがどこかへ行ってしまうというもの。

ジオンの元から逃亡した二人が、どのようにして命を護ってきたか。
誰の元で育てられたのか。
そして、そんな立場(つまりジオンの諜報部は彼等を追いかけているはずだ)で、シャアがジオン軍にもぐりこむことが出来たのか。

とうとう暗殺部隊(言わずもがなのキシリア配下)に襲撃され、養父、ドン・レアボロ(アンダルシアのお城に在住)は逆に、ジオンの監視下に入ることでの命の安全を手に入れることを考えた。
それを勧めたのが、ミライ・ヤシマの父である。
有力な実業家である彼は、廃棄されかかっていたルウム・コロニー(テーマパークとして建設された)に私費を投じて、テキサス・コロニーを建設したのだった。
自由はないけど、命の保障はあるだろうということだ。

そのシーンには、若きミライさん(15歳)も登場。
すでに父の秘書として付き添っている。
娘に事業を継承させる考えだったそうで、田中真紀子氏の父上・田中角栄元総理大臣を思い出す。
彼は、海外出張(笑)のときは奥方ではなくつねに真紀子嬢を連れて行った。
そのときから、娘を将来政界に入れるつもりで修行(見聞を広め、化を売る)をさせていたのは有名な話。
ただ、唯一彼が娘を連れてゆかなかったことがある。
中国との国交正常化にあたり、彼が中国へ乗り込んだ時である。
帰れるかどうか分からない、と思っていたらしい。
それだけの覚悟で乗り込んだからこそ、正常化は実現し、彼は名を歴史に刻んだ。
こーゆー残し方ならいいんだけど、最近の政治家は悪名ばかり遺すよね。
中国で田中真紀子氏が"個人的に"歓迎されるのは、この父上があてこそのこと。
「一緒に井戸を掘った人のことは忘れない」
という中国人の思考の、いい面なんだろうな、と思う。

さて、こうして、襲撃のなか、障害を負った(でも、兄弟以外では唯一の生存者となった)養父に連れられてサイド3の隣に位置するテキサス・コロニーへ移住する。
ここでの二人の名前が、エドワウ・マスとセイラ・マスである。
名前の通り、アメリカ西部の佇まいを残したこの地で兄妹は健やかに育ったように…思いたいが、エドワウ(シャア)がどんどん性格が…歪んでゆく片鱗がうかがわれる。

そして、シャア・アズナブルという、近所の気のいい若者との出会い。
セイラにとっては、もしかしたら、初恋だったかもしれない。
それにしても、シャアはエドワウに双子のように瓜二つで年も同じ(16歳)というのが…やはり、セイラはブラ・コンか?

ザビ家の宣伝(主催、ギレン・ザビ)に載せられた未熟な若者の一例として、両親の反対を押し切って、士官学校入学を決めたシャア・阿須なぶる青年。
さて、それを知ったシャアは…ということで、わずか10台にして、人を欺き、最悪人を巻き添えにすることも(計算に入れなくても)自分の大義(目的)のためには仕方がないと割り切ってしまうシャアの片鱗がうかがわれる、ちょっと怖いシーンもあった。

そうか、こうして赤い彗星は生まれたわけだね、うん。
納得。

ISBN:4047137464 コミック 富野 由悠季 角川書店 2005/08/26 ¥609

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