にしむく士(さむらい) (1巻)
2006年9月25日 読書
久しぶりの大和和紀作品!
太平のお江戸では武士は何も生み出さない、まったくのお荷物状態。
だから、旗本御家人といえども生活は楽じゃない!
お家を継げない(つまり部屋住み)末子に生まれた半四郎とその妻ゆきえ(と息子・太郎)は、ひょんなことから御徒組みのお役につくこととなり、めでたく上京…じゃない、お江戸にお引越し。(上京ってのは、この時代では"京へ行く"だったもんね)
だがだが、お江戸の生活は、御家人の生活は思った以上に大変。
組頭の尾花兵庫は"屁のツッパリにもならない婿殿"状態。
なれないお江戸で、田舎育ちの若い二人の生活は、さて、上手く行くのでしょうか。
…ちなみに。
20歳そこそこのゆきえが自分のことを"オバサン"だとか恋人たちの逢引を目撃して"若い人はいいわねぇ"だとか言うのには参ったけどね。
35歳で行き(嫁ぎ)遅れか…
とはいいつつも、殿様の側室になって安穏にくらすより、仕事で出世して目を光らせる方を選ぶかっこいい中老サマも出てくることだし。
その実情は、今の社会とたいして変わらないような気も。
関が原から100年程度で腑抜けになったサムライ。
と、
戦後50年程度で……になった平成の日本人。(若者だけではないぞ)
両者を作者は比べているが、まさしくね。
「日本人って」
と思うところだろうな。
「あさきゆめみし」
の時も感心したけど、この人の題名のセンスは上手いなぁと感心する。
あさきゆめみし…って伊呂波なんだよね。
イロハを覚えるのに、和歌風にアレンジした最後の句の一部分だもんね。
色は匂えど 散りぬるを 世は 誰にそ 常ならむ
(いろはにほへと ちりぬるをわか よたれそつねならむ)
……で始まる、伊呂波の【あさきゆめみし】
そして、説明するまでもなく、にしむく士、というのは、に(2)し(4)む(6)く(9)侍(⇒二本差し⇒11)
というわけで、2月・4月・6月・9月・11月の、小の月の覚え方をもじったもの。
小の月というのは、31日ではない月のこと。
昔々の高校時代、美術か音楽か書道かタイプか、の選択授業があり、興味本位でとったタイプの授業は、実は商業科むけの授業であった。
というのも、ウチは府立高校で普通科・商業科がごっちゃになっているというユニークな高校であったからそういうこともありえたのである。
もっとも、大学の英文科にいこうという面々は、英文タイプをここで覚えて行こうと真面目に選択したんだけどね。(当時はPCどころかワープロもなかった時代である。タイプライターなんて高価なものが一般家庭になかった時代である)
ただ、私はあくまで興味本位だったので、英文タイプではなく和文タイプを選んだ。
それがなんと、伊呂波順に、字が裏返し(つまり鏡に映した状態)且つ上下さかさま状態で並んでいる、ひとつひとつの小さな活字(小さなはんこみたいなの)を一個一個拾ってゆくのだ。
自分の目で探してね。
だから和文タイプを選択した人間のやることは、まず、いろはを覚えることだった。
受験前の高校生が…いろはの暗記である(笑)
実に器用なことをしたもんだと思うけど…若いってすごい。
すぐ覚えたから。
それに、いい気分転換にはなったなー。
武士も大変だった、特に下級武士は…というのは中村主水さん(必殺シリーズ)を見ていれば良く分かることだけど、まだまだ私達には霧がかかって分からないことも多い時代。
そして意外に面白そうな時代であることは、故・杉浦日向子さんの著書や漫画を見れば良く分かる。
だからこういう漫画も、まだまだたくさん描ける余地はあると思うんだよね。
ISBN:4063703339 文庫 大和 和紀 講談社 2006/08 ¥714
太平のお江戸では武士は何も生み出さない、まったくのお荷物状態。
だから、旗本御家人といえども生活は楽じゃない!
お家を継げない(つまり部屋住み)末子に生まれた半四郎とその妻ゆきえ(と息子・太郎)は、ひょんなことから御徒組みのお役につくこととなり、めでたく上京…じゃない、お江戸にお引越し。(上京ってのは、この時代では"京へ行く"だったもんね)
だがだが、お江戸の生活は、御家人の生活は思った以上に大変。
組頭の尾花兵庫は"屁のツッパリにもならない婿殿"状態。
なれないお江戸で、田舎育ちの若い二人の生活は、さて、上手く行くのでしょうか。
…ちなみに。
20歳そこそこのゆきえが自分のことを"オバサン"だとか恋人たちの逢引を目撃して"若い人はいいわねぇ"だとか言うのには参ったけどね。
35歳で行き(嫁ぎ)遅れか…
とはいいつつも、殿様の側室になって安穏にくらすより、仕事で出世して目を光らせる方を選ぶかっこいい中老サマも出てくることだし。
その実情は、今の社会とたいして変わらないような気も。
関が原から100年程度で腑抜けになったサムライ。
と、
戦後50年程度で……になった平成の日本人。(若者だけではないぞ)
両者を作者は比べているが、まさしくね。
「日本人って」
と思うところだろうな。
「あさきゆめみし」
の時も感心したけど、この人の題名のセンスは上手いなぁと感心する。
あさきゆめみし…って伊呂波なんだよね。
イロハを覚えるのに、和歌風にアレンジした最後の句の一部分だもんね。
色は匂えど 散りぬるを 世は 誰にそ 常ならむ
(いろはにほへと ちりぬるをわか よたれそつねならむ)
……で始まる、伊呂波の【あさきゆめみし】
そして、説明するまでもなく、にしむく士、というのは、に(2)し(4)む(6)く(9)侍(⇒二本差し⇒11)
というわけで、2月・4月・6月・9月・11月の、小の月の覚え方をもじったもの。
小の月というのは、31日ではない月のこと。
昔々の高校時代、美術か音楽か書道かタイプか、の選択授業があり、興味本位でとったタイプの授業は、実は商業科むけの授業であった。
というのも、ウチは府立高校で普通科・商業科がごっちゃになっているというユニークな高校であったからそういうこともありえたのである。
もっとも、大学の英文科にいこうという面々は、英文タイプをここで覚えて行こうと真面目に選択したんだけどね。(当時はPCどころかワープロもなかった時代である。タイプライターなんて高価なものが一般家庭になかった時代である)
ただ、私はあくまで興味本位だったので、英文タイプではなく和文タイプを選んだ。
それがなんと、伊呂波順に、字が裏返し(つまり鏡に映した状態)且つ上下さかさま状態で並んでいる、ひとつひとつの小さな活字(小さなはんこみたいなの)を一個一個拾ってゆくのだ。
自分の目で探してね。
だから和文タイプを選択した人間のやることは、まず、いろはを覚えることだった。
受験前の高校生が…いろはの暗記である(笑)
実に器用なことをしたもんだと思うけど…若いってすごい。
すぐ覚えたから。
それに、いい気分転換にはなったなー。
武士も大変だった、特に下級武士は…というのは中村主水さん(必殺シリーズ)を見ていれば良く分かることだけど、まだまだ私達には霧がかかって分からないことも多い時代。
そして意外に面白そうな時代であることは、故・杉浦日向子さんの著書や漫画を見れば良く分かる。
だからこういう漫画も、まだまだたくさん描ける余地はあると思うんだよね。
ISBN:4063703339 文庫 大和 和紀 講談社 2006/08 ¥714
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