自分が病院に縁がある、というだけに留まらず…知らなくてもこれは実に面白い。

看護婦(今は看護師)さんは、いつもいつも患者の為に笑顔で対応(そうじゃないのを目撃したこともあるけど)。
ほんま、なんで怒らないんだろうかと、人間ができているなぁと常々思っていたんだよね。

でもそこは、生きた人間。
いろいろある。
笑いも怒りも、勿論あって当然。

尿側は、他人事ではない。
患者であれば、まぁまず必ず世話になる。
作中にもあった、腎臓病とか糖尿病とか、或いは尿道結石で石が転がり落ちていないかを確認するために常時採取するだけではない。
フツーに手術した人も、尿は採取しなければならないのだ。

看護師さんたちは汚れ仕事も黙々とやるけど、それをやってもらうこちら側もやはり恥ずかしいとか申し訳ないとかそういう気持ちもある。
それが「当然」となったら、もうお終い。
同じように、寝たままトイレができたら楽でいいじゃないの〜とか、自分でするのは面倒くさいの〜とか。
そういうことを思い出したら(言い出したら)もう駄目だ。
治ろうとする意欲を疑う。

手術中は、尿を取る為の管が入っている。
それは術後、なるべく早くにトイレにいけるように、患者自身がそれを外せるように努力するものだ。
でも、自動的に採取されていたものを、自分の意思でコントロールするのが…これが結構難しいのだ。
普段は、健康なときは当たり前にできたことが出来ない。
これが入院ってことで、病気ってことだから。
だから、ちゃんと出ているかどうか看護師さんが定期的に量を量るのだ。
きちんと出ていれば…そのうちOKということで、尿採取の仕事から開放される。
看護師さんも、ひとり、手が離れる。(尿側に関しては)

いつもにこにこ看護師さん。
その看護師さんの、
「土曜日夜だっていうのに、なんで…!」
と怒りの声をはからずも聞いてしまった私。
彼女は、尿器の洗浄作業をひとりでやっている最中であった。
私がご不浄にいるとは知らず…お陰さまで私、作業が終わるまでずっとご不浄にこもってましたよ。


ISBN:4091926517 文庫 小林 光恵 小学館 2002/09 ¥600

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