さくさく進んで、新章開始。
首都・貴陽にもどったものの、すべての責任を一人でとらされて降格されてしまった紅秀麗。
それでも「負けない!」とばかりに町を歩き耳を澄まし目を配る。
官吏として、できることを、したい。

今、官吏としてあることを、幸せであると、かつては夢描いていた現実なのだと、もう一度認識したい…という気持ちは良く分かる。
あれほど望んでいたのに、手に入れてしまうとその気持ちを忘れてしまうのは誰でもあること。
常に先を、上を見るのは大切だ(ろう)けど、同時に振り返って、原点に戻って考えることも必要かも。

心中は焦りもあるだろうに、それでも前を歩いてゆこうとするヒロインは、現実の日本社会という世界で歩きにくい、嫌な、理不尽な思いをしている女性に"密かに"ダブっているのかもしれない。

どっちを向いているのかいまひとつわかり辛かったシリーズなんだけど、9冊目にしてようやく方向というか、もしかしてこっちをむいてますか?というのが分かってきたような"気がする"(笑)

…で、相変わらずの苦言で申し訳ないが。
変な人が続々出てくるのがこのシリーズの特徴であるのだけど、超自然、超人間、つまり超不自然なモノだけはご免蒙りたい、というのが本音かな。
折角面白いのに…と、魅力減退してしまうんだよね。
今回は、今のところ、そこまでのモノは見当たらないけど…。
あと、手持ちの駒でもうちょっと、話を膨らませて欲しいなぁと。
(限定された人では過去に充分膨らんだけど、他にもいっぱいいると思う)
もったいないし…。

次々目先を変えさせられるのは、若くない身に(笑)辛いですぅ。
あ、それとも、一冊につき一人出す、とか?
そういう縛りがあるのだろうか?

こういう設定で、こういう綺羅綺羅しい登場人物で、模擬政治談議小説…みたいなのを書くのは、今までになかっただろうし、そういうところでは作者の冒険心や勇気はすごいと本当に思う。
ただ、こういうのは…難しいよね、ほんま。
あちこちから突っ込まれ、揚げ足取られ、文句を言われ…(たぶん、すでに)
実際、9巻目に入ったとは言え、小説の内容から考えるに、まだまだ土台部分しかできていないと思う。
ようやく舞台が出来たかな?というぐらいなんだと思う。

今後もこのパワーを失わず(失速せず)、本筋とギャグとがしっかり二本立ちして、しかも見事に交差する彩雲国の世界…が確立されることを切に願うばかりである。
つまり…途中で(中途半端に)消えないでね。
いや、本当に。
今まで山ほど前例がありますから…この(小説とか出版とかの)世界は。

ISBN:404449911X 文庫 雪乃 紗衣 角川書店 2006/08/31 ¥480

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