最近は4コマ漫画の劉備くんシリーズが目に付くが(たくさん再販されている…小さい文庫で)、こちらは普通の漫画で、しかも初期の作品。
というのは、線を見れば一目瞭然。

作者がこの世界に入ったきっかけである「人形三国志」の、そのままのラインを描いているからだ。
扱うテーマが漢王朝末期〜三国時代であるのは勿論、登場してくる文官(しかも端役)なんか人形三国志に出てくるそのまんま。

…といってもけなしているのではない。
私が学生だった時代から、ファンなんである。
彼女が同人誌で活躍していた時代から。

もとグラフィックデザイナーで、人形三国志に触発されて同人誌を出して、そのままプロへ。
劉備君シリーズは同人誌でも人気だった。

自称「中国のことは(歴史も中国語も漢文も)なにもわかりません!」なんて言っている、歴史や考証にとらわれない独特のギャグセンスが光っている。
これからも活躍して欲しいなぁ(でも「李冰(りひょう)」みたいなストーリー漫画も期待!)

本書には、
漢末期の短編が5作収められている。

項羽と劉邦(そういや司馬遼太郎氏のこの小説が、中華人民共和国で翻訳・発刊されたとか…大丈夫なんかいな?親台湾作家と非難していたくせに)の争いに絡めて一人の兵隊のお話。
曹操と天才と評判の在野の医者・華宵の話。
黄布党として生きることを選んだ少女の悲話。
                      などなど…。

加えて、ちょっと異色な、マザコン曹操の話もあって楽しめるかも。

ISBN:404924117X 新書 白井 恵理子 角川書店 1989/10 ¥387

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