必笑小咄のテクニック
2006年9月2日 読書
著者の晩年の著書のひとつ…と気がついたのは、一冊の本にまとめるに当って加筆と修正を行った、という後書きを読んでわかったこと。
ロシア語通訳の著者が本を書き始めたのはそんなに昔のことではない。
「魔女の1ダース」がとっても面白くて、そう思ったのは私だけではなくって、次々とつむぎだされる文章の面白さに嵌まり始めた頃のこと。
卵巣癌が転移して、それが彼女の命を奪ったのである。
これからが…これからがとっても楽しみだったのに。
(癌の死亡率が上昇しているのは、こうした有名人が続々癌で死亡している、というニュースがしばしば流されることではっきりと証明されている)
ことの始まりは卵巣脳腫だったとか。
若い人(勿論女性!)に多い病気だということを世間は知っているのだろうか?
卵巣に水とか膿とか…人によって違うけれどまぁ要らぬ物が溜まって膨らんで圧迫するのだな。
痛みがないうちに見つかればまだしも、発見が遅れればかなり痛いらしい。(夜が眠れないと一晩中ベッドの上でかがみこんでいた人もいた)
ほうっておくと、癌にもなる。
だが、大抵女性が早々に通過する病気でもあるらしく、子宮筋腫が命取りといわれることのないように、この病気も2週間も入院せずに済んでしまう病気である…という認識をもっていた。
というのは、私自身が30台の早々にこの病気に罹って手術を済ませているからだ。
そのときのルームメイトは、40〜50台の女性もいたが、多くは20代の若い女性で、医者は口癖のように「結婚していて子供が欲しいのなら早々に産みなさい。」と言い聞かせていた。
卵巣脳腫の手術は卵巣の摘出にほかならないから、切除すれば子供は出来なくなる。
卵巣は2つあるから1つぐらいとっても…とおもっていたら、一度(一方を)卵巣脳腫で摘出すると、近いうちにもう一方も摘出せざるを得ないハメになるからだ。
だから、「子供が欲しいのなら、なるべく早く生みなさい。」遠からぬうちに、切除するしかないから。
私が手術した病院は、この手術を待つ患者で一杯で、はっきり言って"押し"状態であった。
つまり、ちょっとでも術後が良好であれば、とっとと退院させられてしまうのだ。(心太のようなものである)
私の場合、術後10日そこそこで退院したのだから。
著者はこの手術の結果が最悪だった。
単なる脳腫で水や膿が溜まっていたのではなかった。
まったく……人の運というのは。
この本は、小咄の法則…というか、作り方というか、どこにポイントを置くか、つまり作成する側の立場に立って、描かれた本である。
エッセイが多かった著者には珍しい…。
(私が読んだのも90%エッセイだからなぁ…)
でも既存の小咄を引き合いに出し、自分で作成し、ホラこんな具合で作れるでしょ?
と開示されると、人生って見ようによっては全部(!)小咄だよなぁと思う。
小泉首相がいかに口先だけで誤魔化しをかけたか。
またそれに国民もマスコミもコロンとだまされているか、と、相変わらず厳しい指摘を、あははと笑いながら著者はする。
外国語の通訳なんかをしていると、日本だけの考え方だとわけがわからない、っていうことも多いだろうから、いろんな視点で物事を考えるようになるのだろう。
また、考えられないと、いっている意味・言葉に含まれるたくさんの意味・本当に伝えたいこと、なんか分からないんだろうね。
視界は広くもちたいものである。
それと。
人は人がだまされて笑いものにされるのを、とっても喜ぶ生き物だって事。
キビシク・フカーク・シミジミと、心に沁みました。
確かにそうだ。
ISBN:4087203239 新書 米原 万里 集英社 2005/12 ¥714
ロシア語通訳の著者が本を書き始めたのはそんなに昔のことではない。
「魔女の1ダース」がとっても面白くて、そう思ったのは私だけではなくって、次々とつむぎだされる文章の面白さに嵌まり始めた頃のこと。
卵巣癌が転移して、それが彼女の命を奪ったのである。
これからが…これからがとっても楽しみだったのに。
(癌の死亡率が上昇しているのは、こうした有名人が続々癌で死亡している、というニュースがしばしば流されることではっきりと証明されている)
ことの始まりは卵巣脳腫だったとか。
若い人(勿論女性!)に多い病気だということを世間は知っているのだろうか?
卵巣に水とか膿とか…人によって違うけれどまぁ要らぬ物が溜まって膨らんで圧迫するのだな。
痛みがないうちに見つかればまだしも、発見が遅れればかなり痛いらしい。(夜が眠れないと一晩中ベッドの上でかがみこんでいた人もいた)
ほうっておくと、癌にもなる。
だが、大抵女性が早々に通過する病気でもあるらしく、子宮筋腫が命取りといわれることのないように、この病気も2週間も入院せずに済んでしまう病気である…という認識をもっていた。
というのは、私自身が30台の早々にこの病気に罹って手術を済ませているからだ。
そのときのルームメイトは、40〜50台の女性もいたが、多くは20代の若い女性で、医者は口癖のように「結婚していて子供が欲しいのなら早々に産みなさい。」と言い聞かせていた。
卵巣脳腫の手術は卵巣の摘出にほかならないから、切除すれば子供は出来なくなる。
卵巣は2つあるから1つぐらいとっても…とおもっていたら、一度(一方を)卵巣脳腫で摘出すると、近いうちにもう一方も摘出せざるを得ないハメになるからだ。
だから、「子供が欲しいのなら、なるべく早く生みなさい。」遠からぬうちに、切除するしかないから。
私が手術した病院は、この手術を待つ患者で一杯で、はっきり言って"押し"状態であった。
つまり、ちょっとでも術後が良好であれば、とっとと退院させられてしまうのだ。(心太のようなものである)
私の場合、術後10日そこそこで退院したのだから。
著者はこの手術の結果が最悪だった。
単なる脳腫で水や膿が溜まっていたのではなかった。
まったく……人の運というのは。
この本は、小咄の法則…というか、作り方というか、どこにポイントを置くか、つまり作成する側の立場に立って、描かれた本である。
エッセイが多かった著者には珍しい…。
(私が読んだのも90%エッセイだからなぁ…)
でも既存の小咄を引き合いに出し、自分で作成し、ホラこんな具合で作れるでしょ?
と開示されると、人生って見ようによっては全部(!)小咄だよなぁと思う。
小泉首相がいかに口先だけで誤魔化しをかけたか。
またそれに国民もマスコミもコロンとだまされているか、と、相変わらず厳しい指摘を、あははと笑いながら著者はする。
外国語の通訳なんかをしていると、日本だけの考え方だとわけがわからない、っていうことも多いだろうから、いろんな視点で物事を考えるようになるのだろう。
また、考えられないと、いっている意味・言葉に含まれるたくさんの意味・本当に伝えたいこと、なんか分からないんだろうね。
視界は広くもちたいものである。
それと。
人は人がだまされて笑いものにされるのを、とっても喜ぶ生き物だって事。
キビシク・フカーク・シミジミと、心に沁みました。
確かにそうだ。
ISBN:4087203239 新書 米原 万里 集英社 2005/12 ¥714
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