メモリー 上

2006年8月31日 読書
死にかけた、というのならまだしも、一旦死んだわが身を(しかも胸とかがばらばらに吹っ飛んだみたいだし)再生し、蘇生し、痛みとともに復活させてなんか…ほしくないな、私は。

死ぬまでの、生きるための苦しみならばある程度は耐えるだろう。
だけど、一旦死んで…その死に行く記憶を抱えたままこの世に復活なんてしたくない。

そう思うのであります。

だから、主人公のマイルズ・ヴォルコシガン卿が低温蘇生で蘇り、その副作用で時々(あくまでも時々)(笑)おかしくなるのも致し方ないと思う。
でもって。
自分が多大なる苦労をして救出した相手を撃ってみたり(両脚がちぎれたそうな…くっつけたけどさ)、上司の前で興奮してぶっ倒れるということも、まぁ状況としては有り得るかな、と思ったりもする。

だがしかし。
これほどいろんな事が立て続けに起こると、なにもかもが怪しく思えてくるから困ったことだ。
あれもこれもすべてがハメられたことで、陰謀で、嘘で、なかったことに…なにもなくてすべてが順調だった過去に戻せるのではないかと誤解してしまうのだ。
拗ねて不貞腐れて領地の視察(戦略的撤退らしい)に出かけたマイルズ。
彼を待っていたのは、とんでもない(読者にとっては最高に面白い?)事件だった。

このSF小説はとっても面白い。
独創的でリアルで、話の構成も舞台もとっても面白い。
だがだがだが。
この物語の世界構成で一番キモチワルイと思うのが、医療技術だ。
自分が病院とはきっても切れない関係にあるからかもしれないが、蘇生にしても、ふっとばされた手足と体の"部品"についても、えらく簡単にくっつける。
骨すらも取り替える。
蘇生もする。
蘇生って…命を取り戻しているんだけどね。

ただし、痛みはちゃんとある。
そこのところがリアルすぎて…医療技術は確かに進むだろうけれど、進歩するだろうけれど、人間の忍耐力、痛みに対する耐性が進歩する、進化するってものではないだろう。

くっつけたり蘇生したりの技術があるなら、同時に痛みも取り払わないと…。
痛みをなくす方向にも医療の進化はあるべきだと思う私だった。

端的に言えば、
「痛すぎるぞ!マイルズ!」

             …なんであるよ(笑)

いつものように、とばっちりを受けてる気のいい従兄弟・イワン・ヴォルパトリルにすくいあれ(笑)
ご出世おめでとう♪

そして、お誕生日おめでとう、マイルズ…そうか。
もう30歳なんだねー。(しみじみ……)

ISBN:4488698123 文庫 小木曽 絢子 東京創元社 2006/07/27 ¥1,029

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