嘗ての単行本の文庫本化…で安かったので購入することに。

檀ふみさん、といえば、私の印象はNHKの「連想ゲーム」。
回答者の中では一番若い、そして地味(だと思った)のに、勘がよくて博識。
すごいなぁと感心し、ちょっと憧れたものだった。
作家のお嬢さんだと知ったのはずーっと後のことだったが、その時にはもう女優になっておられた…というか、NHKの時から女優だったんだよね、きっと。
地味に思った私が女優だと認識しなかっただけのこと。

父上は「火宅の人」、檀一雄氏。
家を家族をほったらかしてあちこち遊びまわっていた人…という認識も実は違ったんだ〜と今頃知った次第。
すみません…。

でもあちらこちらへ、お金もないのに海外まで、一人で行きまくっていた人だということは確かだった。
たとえ、療養ということを考え合わせたとしても、娘が稼いだお金で長崎の孤島に家を買って、しかも"ふみのお金だからふみの名義に"という妻に対し"自分の名義にする"と言い張った…。
なんという父だろう。
それだけ聞くとやはりとんでもねー父親だな、と思ってしまう。

とりあえず彼は、
大浪費家
だったらしい。

物書きは水商売みたいなものだと私は思うんだけど、後先考えずに大きな買い物を続け、それをどう按配してゆくかは家族(妻?)まかせ、フォローは物書き友達を頼る。
檀ふみさんが高校時代に芸能界に入って、(たぶん)人並以上の収入があってよかったね、と思わずには居られない私であった。

そんな父でも父は父、というか、この本では父親に対する恨みつらみはない。
書かれていない。
どっちかって言うと親のような大きな気持ちで子供のイタズラを見守っている、というような印象がある。
面白がっているというか。
懐かしい思いとともに、温かく見守っている。

自分が当時の親の年齢に近づき、世の中の伊呂波にも接してこなれてくると、冷静に、同時に寛大に見ることができるようになるのかもしれない。

広い座敷が複数に、トイレが2つ、それとは別に(一軒の家として充分な設備のある)離れがあるような生活は、住宅にきゅうきゅうしていない当時としても、やはり"お屋敷"の部類だよね。

檀一雄氏…やっぱり豪放磊落?

廊下で靴下スケート…そんなん出来るのは、お寺だけだったよねぇ(笑)

ちなみに、檀ふみさんが、立替で潰して後悔したという"縁側"!
母親の実家にはまだ健在。
夏の夕、そこで足をぶらぶらさせて景色を眺めるのは最高に気分がいい。
確かに。
縁側って必要だ。

ISBN:4101161526 文庫 檀 ふみ 新潮社 2006/08 ¥460

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