監獄から、怪しげな大学、中学校にレストラン、そして旧華族・財閥の館……。
日本国内に残る(そしてどこも存亡の危機にある)邸宅を探検する著者。
その名も"建築探偵"(笑)

戦前の三菱財閥の別邸…は、山をまるまる買い取って、敷地内に新幹線と東海道線が走っているというスケールの大きさ。
著者が迷い込んだ(?)とき、執事さんが出てきて応対…慇懃無礼に見学お断りされたというシロモノだそうだ。

執事…流石、もと財閥。
日本にもちゃんといたんだね、そんな人種が。

明治の警察組織は旧薩摩藩が一手に握っていたために、監獄の設計に関しても、大学の建築科を出たばかりの息子を(無理やり?)引きずり込んだ山下家。

その子孫が法事で集まり「そういやそれなりに有名な建築家だったねぇ」とまでは話が出ても「作ったのは監獄ばかり…」ではそれ以上話も進まなかったと直系のお孫さん談。
だから、建築家の子孫はきっと絶えているのだと、建築業界でも思われていたという。
うっ…気の毒な爺さま。

小笠原伯爵邸の葡萄つると小鳥達の意匠はとっても可愛らしくて、本当に、ワンピースの柄にでも出来そうだ。
表紙の写真がレビューで出ないのが残念無念。

ISBN:4022611731 文庫 増田 彰久 朝日新聞社 1996/12 ¥840

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