単行本とは名ばかりの…ごっつい本。
表紙が柔らかくてその分本が軽くって、寝っ転がってもまぁなんとか読めるかな(少しの間ぐらいは)(笑)という重量である。

お指しの通り、「ダ ヴィンチ・コード」の影響受けまくりの本。
フリーメーソンという秘密団体からの導入ではあるが、実はこのフリーメーソンって、西洋ではかなり胡散臭く・悪いものの代表のように思われているものらしい。
日本人としては、きっと好奇心の対象で調査対象で、テレビの特番(2時間枠)とかでバンバン放映されている興味深い話題だとばかり思っていたのだが。

そのフリーメーソンが、歴史的バックボーンが欲しいのか(欲しいのだろうな)テンプル騎士団の後裔であることを、或いは何らかの関係があることを匂わせているのだという。

そこから例の悲劇のテンプルナイツの話に転化する。

ことの起こりは、1307年10月13日(金)。
フランス王フィリップの命令により、テンプル騎士団は急襲される。
捕えれれたなかには、確かに大総長ジャック・ド・モレーの姿があった。
彼らは7年かけて審問され尋問され拷問され、異端の汚染(というらしい。キリスト教では)を理由に、1314年3月、パリのシテ島にて弱火(トロビ)の火刑に処せられた。
ここに、テンプル騎士団は廃絶されたのである……ということになっているのだが。

どうやら。
捕まってない人たち(騎士達・従者達・金庫番たちなど非戦闘員含む)のほうが多い。
なんと、フランス王が第一の目的とした財宝がすっからかんだった。(笑っちゃいけないが…お笑い)
襲撃の寸前、テンプル騎士団が所有していた大艦隊が大西洋に(?)船出したままけっきょく発見されなかった(この艦隊に人と財宝をつんでいた模様である)というのである。

…ということで、大総長ジャック・ド・モレーはフランス王の動きを察知していたのではないかと思われる。
また、彼は最終的には堂々とフランス王とその傀儡である教皇に勝てるつもりで居たのではないかと。(だから逃亡しなかった)

あくまでもフランスのフィリップ王は、テンプル騎士団の唸るほどの財宝が目的でこの行動を起こしたのだが、そういう意味では見事にしてやられたことになる。

詰めが甘いですね〜。
はっはっは。

大騒ぎになっている割に、イギリス王やポルトガル王なんかは騎士団に同情的だったし、スコットランド王は当の教皇と喧嘩して破門されていたから"騎士団員の逮捕"なんていう勅令に従う筈がない。
…で、難を逃れた騎士団の多くはスコットランドへ向かったのではなかろうか?という仮説が成り立つ。
イギリスを相手に独立戦争を闘っていたスコットランドのロバート・ブルースは戦争になれた騎士団を、諸手を挙げて歓迎したはずだ。

なんでこんなところに?
と思うようなスコットランドの田舎(失礼)に、剣だけを線刻した墓石の列が連なる理由が……その墓石には名前も生年も墓の主の身元を証明するなんら記録はなく、その所有品である剣だけが刻まれている。
これはテンプル騎士団の墓の作り方だそうだ。

テンプル騎士団は聖地(エルサレム)を中心に本拠地を作り営まれていた組織である。
創始のひとびとに有名人が多かった成果、その使命感に同調した人が多かったのか、次々と土地や財宝の寄進を受け、聖地エルサレムの守護と巡礼者の案内と護衛(自分ところで船も所有して巡礼者を乗せて運ぶという、今の旅行会社みたいなこともやっていたらしい)に励み、修道騎士団として活躍した。
教会なので税金はなし。
通行税もなし。
こりゃ儲からない方がおかしい…というぐらいである。
イギリスやフランスなどでは収税権ももって、王室の仕事の代行もやっていた…税務長官みたいなもんだね。

だから、【欧羅巴王室の金庫番】といわれるのも無理はない。
その富に、借金だらけのフランス王が目をつけるのも仕方がない。

当然ながらイスラム教やユダヤ教に触れる機会も多く、その創始の段階でカタリ派(異端として殲滅されている南フランスを中心に栄えたキリスト教の一派で、なんとイエスを悪であると言い切っている)の影響も受けていた。
ゆえに、そこんところを突っ込まれて、異端だ、悪魔儀式をやっていると難癖を付けられて潰されたわけだが。

潰されたがゆえに、また、多くのものが見事に消えうせ(人も財宝も見つからなかった)たがために、【謎の団体】として有名になったのだった。

 うん。

いかにも日本人でなくても飛びつきそうなネタだね。

最期の大総長ジャック・ド・モレーが自身の火刑のとき、「フィリップ王と教皇は、1年以内に死ぬであろう」と正確に予言した、というのがまた神秘的というか気持ち悪いといおうか……。

まだ1/3ほどしか読んでいない。
したがってアメリカのアの字も出てこないけど…充分さむ〜い気分にさせる本である。

ISBN:4879191647 単行本 林 和彦 三交社 2006/05 ¥2,415

コメント

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カズ
2006年8月31日16:06

おもしろそうな本ですね。続きのアメリカの話もお願いします。

翠雲
翠雲
2006年8月31日18:59

>カズさま。初めまして。
翠雲と申します。

アメリカですか。
どういう形で出て来るのか、まだ分かりませんが、読了の折にはまた書く機会も有ると思います。

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