天下無双の建築学入門
2006年8月19日 読書
この人の言動を、というか文章をどこかで目にしたことがある……と思いながら読了。
建築学の教授で、設計もやっている。
自分の家の屋根に蒲公英を咲かせ、友人の家の屋根にはにらの花を咲かせてもいる。
日本建築学会賞とやらも受賞しているおじさんであるが…言ってることが…あんたは関西の芸人か?といちいち突っ込みを入れたくなる。
いいお人柄なのだ、一言でいうと。
長野の田舎生まれで育ちで、江戸時代に建った古民家なんぞでそだったから、生粋の縄文嗜好者になって(?)しまった。
どうも、土にはだしの感触が切り離せないようだ。
実家に帰省時にわざわざ山へ出かけて竪穴式住居を作ってみようなんて思いつくぐらいだから。
その著者が、今の日本、嘗ての日本の建物の、部屋、昨日についてとうとうと語るのは、学者が講義をするのとは似ても似つかぬ面白さ。
特に、床柱の意義だとか台所戦争とか…
熱帯生まれの人に夏の暑さを、艦隊生まれの人に冬の寒さを、それぞれ太鼓判を押されたわが国、日本。
それを足して二で割って、ちょうど"温帯"って……をい。
やだやだやだ!
密かに(温帯じゃないだろう、この国は、と)疑ってはいたけれど、そんなもんに太鼓判なんか要らない。
念押しも確認も要らない。
そんな国で長持ちする建築は……というわけで話は続く。
ギリシャの神殿の石の柱(エンタシスというやつだ)は、実は気の柱の代用品だった。
それが証拠に冠部分と根っこの分部の装飾が、木造の柱の処理そのままだ。
なぜならば、ギリシャ人は北方の森の中から追われて南下してあの石と岩と海(しかない)の土地にたどり着いたのだから。
だから気の柱への憧憬が切り離せるはずがなかったのだ。
だから、最初は神殿も木造の柱で作っていたのだ。
ところが、下手に器用な"ジンゴロウテレス"のヤツが出現したお陰で、木造でしか味わえない風味を石の柱で表現することを可能にしてしまい、あとはなし崩し的に…
だが、木造建築への心理的負い目だけは払拭できずに、石造のアーチを発明することは出来なかった…。
……というわけ。
勿論作者の推理である。
けれど"な〜るほど"と思わないでもない推論が展開される。
すべからくそう。
あとはベルサイユのなか、マリー・アントワネットが好んだ農家風建物の屋根が、フランスの位置地方で見られる芝棟つくりであることを確認(これがまた日本の北関東〜東北にも見られる、というか日本のこの地方とフランスの一地方でしか見られない現象らしい。すごいねー)したり、日本の皇室の生活様式(和式か様式か?)を解説したり。
昭和天皇さんって、出張先ではどんな和風旅館でも絨毯を敷いてベッドを持ち込んで土足で起居したんだと。
それが普通の感覚になっているんだと。
すごいなー。
完全洋風化(笑)
意外に知らなかったー。(私だけか?)
明治維新でそのようになったらしいが……。
宮家は、和洋折衷。
つまり、洋式にはスリッパで、和室ははだしってことらしい。
皇室も色々大変だねー。
しかし!
日本に来たことのある外国人は、土足をやめているらしい。
皆スリッパ党に変っているんだってさ。
そりゃ「楽だから」というのが理由。
そりゃ楽だろうさ。
靴って締め付けるやん。
日本を訪れる外国人の人気のお土産に"スリッパ"が上げられているというのは本当のことだったんだ……。
風呂敷より安あがりで結構なことです。
あの、日本のものならなんでもケチをつけたがる隣国、中国も、韓国もしかり。
隣国とは言え、大陸は早々に椅子生活になっているからね。(だから彼らは我々とは違って足がまっすぐで長い、という説も昔から聞かされている…)
土足だと汚れる!というのもひとつの理由。
経済発展で、家が小奇麗になって、汚れが気になりだしたというわけ。
はだし文化を、是非、わが日本から!
日本のスリッパ文化が世界を席捲する日も近い!?
というわけで、建築専門の人向け…では全然ない!(としか思えない)一冊。
笑える。
ISBN:4480059121 新書 藤森 照信 筑摩書房 2001/09 ¥756
建築学の教授で、設計もやっている。
自分の家の屋根に蒲公英を咲かせ、友人の家の屋根にはにらの花を咲かせてもいる。
日本建築学会賞とやらも受賞しているおじさんであるが…言ってることが…あんたは関西の芸人か?といちいち突っ込みを入れたくなる。
いいお人柄なのだ、一言でいうと。
長野の田舎生まれで育ちで、江戸時代に建った古民家なんぞでそだったから、生粋の縄文嗜好者になって(?)しまった。
どうも、土にはだしの感触が切り離せないようだ。
実家に帰省時にわざわざ山へ出かけて竪穴式住居を作ってみようなんて思いつくぐらいだから。
その著者が、今の日本、嘗ての日本の建物の、部屋、昨日についてとうとうと語るのは、学者が講義をするのとは似ても似つかぬ面白さ。
特に、床柱の意義だとか台所戦争とか…
熱帯生まれの人に夏の暑さを、艦隊生まれの人に冬の寒さを、それぞれ太鼓判を押されたわが国、日本。
それを足して二で割って、ちょうど"温帯"って……をい。
やだやだやだ!
密かに(温帯じゃないだろう、この国は、と)疑ってはいたけれど、そんなもんに太鼓判なんか要らない。
念押しも確認も要らない。
そんな国で長持ちする建築は……というわけで話は続く。
ギリシャの神殿の石の柱(エンタシスというやつだ)は、実は気の柱の代用品だった。
それが証拠に冠部分と根っこの分部の装飾が、木造の柱の処理そのままだ。
なぜならば、ギリシャ人は北方の森の中から追われて南下してあの石と岩と海(しかない)の土地にたどり着いたのだから。
だから気の柱への憧憬が切り離せるはずがなかったのだ。
だから、最初は神殿も木造の柱で作っていたのだ。
ところが、下手に器用な"ジンゴロウテレス"のヤツが出現したお陰で、木造でしか味わえない風味を石の柱で表現することを可能にしてしまい、あとはなし崩し的に…
だが、木造建築への心理的負い目だけは払拭できずに、石造のアーチを発明することは出来なかった…。
……というわけ。
勿論作者の推理である。
けれど"な〜るほど"と思わないでもない推論が展開される。
すべからくそう。
あとはベルサイユのなか、マリー・アントワネットが好んだ農家風建物の屋根が、フランスの位置地方で見られる芝棟つくりであることを確認(これがまた日本の北関東〜東北にも見られる、というか日本のこの地方とフランスの一地方でしか見られない現象らしい。すごいねー)したり、日本の皇室の生活様式(和式か様式か?)を解説したり。
昭和天皇さんって、出張先ではどんな和風旅館でも絨毯を敷いてベッドを持ち込んで土足で起居したんだと。
それが普通の感覚になっているんだと。
すごいなー。
完全洋風化(笑)
意外に知らなかったー。(私だけか?)
明治維新でそのようになったらしいが……。
宮家は、和洋折衷。
つまり、洋式にはスリッパで、和室ははだしってことらしい。
皇室も色々大変だねー。
しかし!
日本に来たことのある外国人は、土足をやめているらしい。
皆スリッパ党に変っているんだってさ。
そりゃ「楽だから」というのが理由。
そりゃ楽だろうさ。
靴って締め付けるやん。
日本を訪れる外国人の人気のお土産に"スリッパ"が上げられているというのは本当のことだったんだ……。
風呂敷より安あがりで結構なことです。
あの、日本のものならなんでもケチをつけたがる隣国、中国も、韓国もしかり。
隣国とは言え、大陸は早々に椅子生活になっているからね。(だから彼らは我々とは違って足がまっすぐで長い、という説も昔から聞かされている…)
土足だと汚れる!というのもひとつの理由。
経済発展で、家が小奇麗になって、汚れが気になりだしたというわけ。
はだし文化を、是非、わが日本から!
日本のスリッパ文化が世界を席捲する日も近い!?
というわけで、建築専門の人向け…では全然ない!(としか思えない)一冊。
笑える。
ISBN:4480059121 新書 藤森 照信 筑摩書房 2001/09 ¥756
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