黒いハンカチ

2006年8月16日 読書
ものすご〜く、不思議な小説。
推理小説といっていいのかどうか…。

デキが悪いというのでは決してなく。
雰囲気がとっても不思議。

昭和30年代の、私立の女子高の英語の先生を主役に据えた、淡々とした観察型推理の小説で、日常の、でもべたべたしてリアル過ぎて忙しくてせせこましくてやりきれない現代ではなく、ちょっとおしゃれなゆとりのある上品な休日の晴れた午後のような日常を描いている。
そんな感じ。

そう。
この作品自体が40年以上前の作品だから。

日本にだって、余裕はあった。
それはこういう本を読めば良く分かる。
便利に成る程、時間が早くなる。
忙しくなる。
人間味がなくなる。
辛くなる。

時計が出来たから、人間は忙しくなった。
時間に使われるようになった。
それは定説。

豊かになったから、日本人は貧しさを意識するようになった。
"下"を見るようになった。

余裕をなくした。

ニシ・アズマ女史(主役)は今頃どんなおばーさんになっているのかな?
そんなことをちょと考えてしまう作品。

あー。私も遠景に海が見える屋根裏部屋で、仕事の合間、ひととき昼寝をしてみたいー!
(仕事復帰が先やけど)(笑)

ISBN:4488444016 文庫 小沼 丹 東京創元社 2003/07 ¥735

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