タブーの漢字学

2006年8月15日 読書
所謂、「性」「死」「排泄物」など、タブーとされる言葉・感覚、つまりその背後にある民族の感覚について、慎重に考証する一冊。

おおしろおかしくあまりかとおもったらば、実に慎重。
気を使って(使いまくって)書かれている。

なぜならば、【考え無しが公然とその言葉を使用することで、国際問題とはいわずとも民族間の不幸な誤解を招く】から。
こんなことを考えて、気を使って本を書かねばならないほど、日本人のモラルも常識もマナーもお行儀も悪くなったのか…と愕然とする一冊でもある。

著者が(多分)大学院生時代に古きよき(?)中国に渡り、その不自由さと言うか純朴さと言うか、凄さと言うか…に接した時の驚きとか感慨は良く分かるつもりだ。
かく言う私とて、1980年代の中国を知っている。
人民服が当たり前。
パーマなんてとんでもない。
横柄な役人(メイヨー<無し>としか言わん!)と純朴な市民。

歩いているだけで注目される(じろじろと、ではなく、わあ!ガイコクジンだ!というまなざしで)その純朴な視線(笑)

……自転車に乗っているのにこっちばかり見ていたおじさんがバス停のバスの尻に衝突、本人は照れ笑い、周りも”わっはっは!”と大笑い、という一幕も。

その日泊まるホテルも乗る飛行機や列車の確保も定かではない(意地悪なのか、はたまたやることがどんくさくてぎりぎりまで決まらないのか)という恐ろしい旅行…それが中国!

そういうことを思い出し、懐かしかった。

まとめて言えば。
名は体を、そして意味をも顕わす漢字。

とってもとっても味わい深いものです。


ISBN:4061497510 新書 阿辻 哲次 講談社 2004/11/19 ¥756

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