藤原先生の第…(?)冊目。
短いエッセイを取りまとめたもので、学生の頃の話、アメリカ留学時の出来事、父、母、妻、子供たち、そして恋愛(?)…まあいろいろと、詰っていて、次から次へと飛び出してくるから、宝箱みたいで面白い。
いや、宝箱というよりはビックリ箱か。

この方が「国家の品格」を書いてブレイクして、こうしてわたしも面白さに嵌まって次々読んでいるわけだ。
この人の本がブームだからといって、別に連動しているわけではない。
この人の本を読んだが為に、私がいきなり興味をもち始めたというのでもない。

だが、最近の教育の動向がちょっと気に掛かる。
「愛国心を強制する」かのごとき動きは、とっても気に掛かる。
だって、気に掛かるでしょ?

愛国心は、強制されるモンじゃない。自然と湧き上がってくるもんだ。
それが、戦後教育というか戦争の反動やGHQによるまあいろいろな裏事情があって、日本人の愛国心拒絶症みたいなものが出来てしまった。
此処にいたって、
愛国心って決して悪いものじゃない。
必ずしも戦争に結びつくものじゃない。
愛国心という言葉とその意味をここで見直しましょう、というのなら、分かるんだ。

藤原先生がいう愛国心は、いままで吐き捨てるように使われてきた愛国心とは違う(と思う)

自分の国を愛するということは、
そこに住む人々や自然、つまり花咲く野原や冬は雪を抱き秋は見事に紅葉する山や魚のおよぐ清流や、命を育むその自然環境の美しさを愛するということ。
自分を取巻く自然や人間を愛する情感(情緒)をもつ人は、他国の人たちがその周りの人や自然や祖国に対してもつ情感を理解で知る。
愛する気持ちが分かる。

だから。
そんな人や国に対して、戦争を仕掛けようという気にはならないでしょう?という話なのだ。

そういった情感を、感情を、情緒を、日本は、子供たちのなかに育ててやらなきゃいけないよーと言ってるだけなのだ。
これって、昔の子供たちが、否、大人ももっていたものだよね。
そんなに特別なことを言ってるわけじゃないのに、「成る程!」と思い切り納得してしまった私だった。

もやもやして、やりきれない感情が渦巻いていたのが、ちょっとだけ、霧が晴れてきたのかな?という感じ。
すっきり感というもの。
藤原先生の本を読んでいるとそんな気持ちに浸れるから、文章が面白いということも確かにあるけれど、それよりもなお強く感じられるものに魅かれている。
それが現状。

熱しやすく冷め(醒め)やすい。
典型的な日本人気質の私は、現在沸騰中なので、しばらく醒めそうにないだろう…と自己観察。

ISBN:4101248052 文庫 藤原 正彦 新潮社 1997/06 ¥540

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