若き数学者のアメリカ
2006年5月16日 読書
先日まで読んでいた「遥かなるケンブリッジ」で南木佳士氏が解説していた。
「遥かなる〜」に並んでずば抜けて面白いのはこの本であると。
たまたま昨日、この本を買い足したところだった私は、そこに何かの啓示を(笑)感じた…わけじゃないけど。
買ったときよりも期待感をもってこの本を開いたわけだ。
1972年。
およそ35年前。
著者はアメリカの(大学の)招きによって、数学の研究をするためにアメリカにわたる。
初めての海外…だとか。
1年間の留学で、負う義務は研究のみ!だって…。
ああ、すごい、いいなぁ〜と、ちょっとだけ思った。
学生時代なら天国のように感じたかも。
今はどうかな?
羨ましい、と思うのは、きっと、自分が好きなことだけしていられるから。
それでも生活できるから。
そういうことだと思う。
それに、会社員として、社会生活にどっぷり使った今は、きっと罪悪感とかわけの分からぬ不安感や意味のない罪悪感に追い立てられるだろうな。(こんなことしてていいの?とか)
或いは、仕事をしなくても"食べてゆける"という開放感にひたすら怠惰な時間を送るかもしれない。
それは、定年を迎えた会社員が陥る罠にも似て。
アメリカにわたるに当って、受けるであろう文化的地域的人種的ショックを何とか和らげようと、著者は姑息に運動する。
まず。
一旦ハワイで小休止。
⇒ パールハーバーにて、意味なく疲れる。
一旦ラスベガスで小休止。
⇒ カジノにて、"日本人根性"(笑)を出しすぎて摩られる…嗚呼もったいない…!
外国に出た日本人が陥るのは、「急激なる国粋感情」みたいなもの。
日本が恋しく、何を見ても己が日本人であることを痛感し、何をしても日本が一番と思い、何を言われても日本が侮辱されたと戦闘モードに入りやすくなる。
…ということ。
芥川龍之介がハンブルク港で貨物船のポールにたなびく日章旗に涙したり、若き女子大生が北京の日本大使館の日本車に歓声を上げたり(?)
奇妙な愛国心(?)が一時的に異常にヒートアップする現象らしい。
一時的なものらしいけど。
しょうがない。
島国日本にいる限り、「己が日本人である」ってことは、意外と認識されないものである。
日本人だということが、当たり前なのでわざわざ自覚するほどのものではない。
でも海外へ一歩出れば
「あんたは日本人だ!」
と思い知らされる時が必ずある。
特に、対日感情がよろしくない国では……。
それが酷い。
まるで日章旗かレッテルか何かを背中に貼り付けているような気分になる。
見えない分、厄介だし。
見えないから、はがせないし。
それを通り越して、リラックスすれば、なんともないと思えることなんだけどね。
若き日の藤原先生もまた、こうしてアメリカで気力体力を無駄に消費されているご様子…。
御年29歳のお話である……わ、若い!
ぜんぜんそんな感じじゃないけれど、本当に天才数学者なんだな〜!
吃驚。
ISBN:410124801X 文庫 藤原 正彦 新潮社 1981/06 ¥540
「遥かなる〜」に並んでずば抜けて面白いのはこの本であると。
たまたま昨日、この本を買い足したところだった私は、そこに何かの啓示を(笑)感じた…わけじゃないけど。
買ったときよりも期待感をもってこの本を開いたわけだ。
1972年。
およそ35年前。
著者はアメリカの(大学の)招きによって、数学の研究をするためにアメリカにわたる。
初めての海外…だとか。
1年間の留学で、負う義務は研究のみ!だって…。
ああ、すごい、いいなぁ〜と、ちょっとだけ思った。
学生時代なら天国のように感じたかも。
今はどうかな?
羨ましい、と思うのは、きっと、自分が好きなことだけしていられるから。
それでも生活できるから。
そういうことだと思う。
それに、会社員として、社会生活にどっぷり使った今は、きっと罪悪感とかわけの分からぬ不安感や意味のない罪悪感に追い立てられるだろうな。(こんなことしてていいの?とか)
或いは、仕事をしなくても"食べてゆける"という開放感にひたすら怠惰な時間を送るかもしれない。
それは、定年を迎えた会社員が陥る罠にも似て。
アメリカにわたるに当って、受けるであろう文化的地域的人種的ショックを何とか和らげようと、著者は姑息に運動する。
まず。
一旦ハワイで小休止。
⇒ パールハーバーにて、意味なく疲れる。
一旦ラスベガスで小休止。
⇒ カジノにて、"日本人根性"(笑)を出しすぎて摩られる…嗚呼もったいない…!
外国に出た日本人が陥るのは、「急激なる国粋感情」みたいなもの。
日本が恋しく、何を見ても己が日本人であることを痛感し、何をしても日本が一番と思い、何を言われても日本が侮辱されたと戦闘モードに入りやすくなる。
…ということ。
芥川龍之介がハンブルク港で貨物船のポールにたなびく日章旗に涙したり、若き女子大生が北京の日本大使館の日本車に歓声を上げたり(?)
奇妙な愛国心(?)が一時的に異常にヒートアップする現象らしい。
一時的なものらしいけど。
しょうがない。
島国日本にいる限り、「己が日本人である」ってことは、意外と認識されないものである。
日本人だということが、当たり前なのでわざわざ自覚するほどのものではない。
でも海外へ一歩出れば
「あんたは日本人だ!」
と思い知らされる時が必ずある。
特に、対日感情がよろしくない国では……。
それが酷い。
まるで日章旗かレッテルか何かを背中に貼り付けているような気分になる。
見えない分、厄介だし。
見えないから、はがせないし。
それを通り越して、リラックスすれば、なんともないと思えることなんだけどね。
若き日の藤原先生もまた、こうしてアメリカで気力体力を無駄に消費されているご様子…。
御年29歳のお話である……わ、若い!
ぜんぜんそんな感じじゃないけれど、本当に天才数学者なんだな〜!
吃驚。
ISBN:410124801X 文庫 藤原 正彦 新潮社 1981/06 ¥540
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