星野監督時代の優勝(2003年)時に書かれたエッセイを、2005年の岡田監督の優勝への祝辞を加えて文庫本化された一冊。
こんな本も出ていたんだなぁ…って、あの時(2003)は、海のものとも山のものとも知れぬ本がたくさんでていたから…(笑)
全部チェックするのは無理!

ところで、ドクトル・マンボウが熱狂的な、"狂"が付くほどの阪神ファンだったとは…知らなかった。
すみません。
お見それしました。勉強不足でした。

その著者のドクトル・マンボウであるが、随分お年を召されたようで、そういうイメージがなかったから、少々(いやだいぶ)驚いている。
その分、自分も年をとっているのだが、自分はいつまでも若いと思っているから、時の流れの感覚が鈍くなっているんだろうなぁ。
嗚呼やれやれ……。

ドクトル・マンボウが阪神ファンになったのは東北大学在学中。
昆虫が好きで学者になりたかったのに、戦争の禍の迫り来る時のこととて、「医学部に行けば出征が遅れる」と父・斉藤茂吉が命じたためだと(多分)高校のときの国語の教科書で読んだ覚えがある。
「ほぅ、なるほど」とそのときは純粋に感心したものだった。
ま、歴史を見れば分かるように、結局は行かざるを得ないほど戦況は悪化したのだけど。
その旧制高校を思わせるバーバリズムに惚れ込んだのだという。

バーバリズム…なんでしょうか?それ?すみません。わかりません。(笑)

なんにしても、珍しいね。
東京出身の人なのに。
地方にGファンが多いのは、全国津々浦々まで偏った解説と応援の入った実況中継(局アナは結局サラリーマンだからし方がないけどね)を某テレビ局がするからで、そんなものを聞いていれば自然とG党になってしまう。
勿論、関西のテレビ局だって同じことをしている。
大いに偏り、大いに私情まじりで……。

同様に、あたかも、物心が付くか付かないかの内から、あの熱狂的な甲子園の雰囲気の中に連れ出され、わけわからんままに風船を飛ばしていれば、そのムードに毒され(笑)て、中毒になっちゃってもおかしくはない。
阪神ファンが家族ぐるみなのは、そーゆー環境が大きいのだと思う。
しかし、あのジェット風船飛ばしは、一度現地で経験されることをお薦めする。
最高に美しい!
球場全体での一体感も味わえるし、まさしく"我らのお祭!"という感じなのだ。
だまされたと思って、一度本物を見てほしい。
きっと感動する。
絶対に。
ファンでなくたって…きっと。

で、阪神ファンというのはいつも不安でびくびくしている。
調子が良いからといって「優勝」とか言ってはいけない、という雰囲気がある。
言うと「運が逃げる」ような、そんな不安に常に付きまとわれているのだ(笑)
いや、本当に。
だから、
少しは行けるかとコッソリ思ったのは、
…そう。コッソリ思うモンなんです。
おおっぴらに思うだけで、駄目なんです。逃げて行っちゃうんです。幸運の女神が。

勝ちが続いて喜んで、いや駄目だ、きっと今度は負け続けるぞ有頂天になっちゃだめだ。このまま阪神が勝ち続けるわけがない!と気を引き締める。
阪神ファンは…(略)…身体に悪い
いっそ、5月で「今年のペナントレースは終わった…」とか言ってる方がなんぼかラクでした。実際。

毎年5〜6月ごろには、負け続けて優勝どころかAクラスの望みもなくなるので、阪神ファンの体力はそこまででいい、とうか、そこまでしかもたない。
病弱なタイガースファンとしては、たまに優勝ならいいけれども、いつも6月ぐらいでシーズンが終わったようになるから体力が続いているので、毎年毎年ペナント争いされたら、しんどくってしようがないという感じもします。
というのは決してリップサービスではないよね。そう思うと、巨人のファンは"少しだけ"(笑)すごい、という論法になるようだ。
よく毎年毎年優勝争いをしていてスタミナがもつなと。


最後の最後まで、試合中他人様迷惑なほど賑やか(煩い?)に応援を続ける阪神ファンだけど、その心中は不安と喜びと半分半分、いや、7:3ぐらい(?)であるってことです。
でもって、陽気な阪神ファンのその実情は、ぜーはーと息を切らしているのかも?
だから、病弱(シーズンいっぱい持たない)で小心者(不安がつきない)な阪神ファンを、暖かく見守ってやってくださいね。

ISBN:4101131562 文庫 北 杜夫 新潮社 2006/03 ¥500

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