「吾輩はシャーロック・ホームズである」
な〜んてことを言う。

ロンドン留学中である。

背が低く、肌の色が黄色い東洋人である。

…で、異国の地で、只今ちょっとノイローゼ中。

こうなったら該当者はひとりしかいない。

夏目漱石氏の若かりし頃の、滞倫敦冒険始末譚。
……と言ったところか?

困ったことに、本物の留守に本物の部屋に乗り込んだ、ナツメ氏を、ホームズは「本物のように扱え」とワトソン君に指令を出すのだった。

「なんでやねん…」
本物のように…相槌をうちつつ突っ込みもいれてみたりする"ワトソン君"なのであった。
(もしかして、いつもの仕返しか?)

粉塵と灰が舞い散る霧の倫敦で、ひとりの占者が殺された。
欧羅巴では並ぶ者なし、と言われたマダムを青酸カリで殺したのは誰なのか?

ナツメ・ホームズが事件解決に乗り出した。
昔世話になった下宿屋の、二匹の雑種犬とワトソン君を引き連れて、霧の倫敦シティを、そして倫敦塔を徘徊する。(こっちの方がうんと怪しい)

なんと、かのアイリーン・アドラーの実妹(笑)が出場、よりにもよってナツメの心を奪い去る。(へ〜ほ〜って感じです)

自然遺産に人間の力は、関与はない。
日本の遺産は、日本人が作ったものでも、なんでもない。
ただそこにあっただけだ。
……とナツメ氏が述べるくだりが有る。
日本の自然を誉められたことで、寂しそうに、彼がワトソン君に言う科白なのだが。

それに反論を。
ほっとけばなんでも残る、というものではないから。
そのままあるように、誰から力(意識)を注いでいるから、そのまま残っているのだ、と私は思う。
ほっとけば、朽ちてゆくのだ、命あるものもないものも、みな。

持続することもまた、労力を必要とすることなのだから…と私は思うのだ。

ISBN:409387624X 単行本 柳 広司 小学館 2005/11 ¥1,470

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