「珍妃の井戸」 その後。
「珍妃の井戸」読了語の感想である。

……よく絵画で使われる技法(画法?)で、"国家"を擬人化して描く、と言うのが在る。

たとえば、19世紀のポーランド。
かの国は、ロシアやドイツなどの周辺列強に併呑され分割され、ひどい目に遭った(その時、ショパンが怒りにまかせて作曲した、と手塚治虫の漫画に描いてあった)。
それを、一人の女性が高圧的な人々に周囲を取巻かれ、力なくうなだれているくら〜い絵で表しているものがあった。

たとえば、ナポレオン。
かの人がエジプト遠征中のこと。
危機に陥った仏蘭西が若い女性の姿をして、英雄の下へ、はるばる空を駆けてくる様を描いた絵もあった。

何がいいたいかと言うと。

珍妃を殺した犯人を見つけようとする、英・独・露・日の代表は、清朝を滅ぼそうとする列強。
井戸に頭から沈められ殺された珍妃は滅びゆく清国を象徴しているのだろう。

……ということ(結論)かな、と。
多分(笑)

それにしても、例の井戸。
あんな小さな井戸にどうやって妃を放り込んだんだろうと不思議で仕方がなかったのだが、読んでいて、徐々に分かってきた。
分かってきてぞっとした。

何も放り込まずとも…いいわけで。
「女の腰がやっと通るぐらいの大きさ(直径)しかない井戸」に、人を逆さにして、ぐいぐい押し込んだ、といいわけだ。

うぇ〜なんてこと!
完璧には想像できないけど…想像してしまう。

"深くて冷たい水が出る井戸"だと宦官が証言しているので、そのまま下まで落ちれば(身動きひとつできないから)溺死するわけだ。
途中で引っかかっても逆さだから…いずれ死ぬ。

ひどいことをしたものだ。
人間ってどこまでも残虐になれるし、なろうとする。
なにかが、外れた時。

残虐なことをする人間ってのは、「こういうことをしたらこうなる」、という想像力が欠如しているのだと思う。
きっと。

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