おばかさんとは、知恵を磨くための砥石…なのだそうだ。

シャークスピアが言っている。(彼の場合は道化のことなんだけど…)
ウッドハウスが証明している。(この場合は勿論、バーティとその類友なんだけど)

今日も、やり手の執事・ジーヴスは行く。
そりゃあもう、ゆけゆけゴーゴー!ってな具合で、主の威光も意向もうっちゃって、己の希望の赴くまま。

しかし、彼の存在は、オバカで人のよい主、バートラム・ウースターあるがゆえのこと。
なんだかんだ言っても、「だまされているような…誤魔化されているような気がする」と自覚しつつも、「まあいいか」と、ジーヴスを大事に扱う彼の度量の広さ故のこと。
そのあたりを多分ジーヴスもわきまえていて、一線を越えないから上手く言っているのだと思う。

古きよき英国。
その中で、精神的にゆとりのある人々の、時としてはブルドックとまで称される英国魂の、片鱗であろうか。

ジーヴス・シリーズは、こんな具合で非常に面白い、大人の小説である。

ISBN:4336046778 単行本 森村 たまき 国書刊行会 2005/10 ¥2,310

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