墨攻

2005年11月7日 読書
頭は坊様のようにそり落としてます。
汚い着物を麻縄でくくっただけです。
どこまでも出かけて行き、一生他人のために働きます。

およそ、綺羅綺羅しい生活とは縁がありません。
というか、目もくれません。

墨子を祖とする、墨家一門の、それが本当の姿です。
(剃髪はこの小説の主人公・革離だけのようですが…)

ちょっと覗き見してみたら、離れられなくなってしまった…文庫本170頁ほどで370円弱。
安かったので、ちょっと読んでみようかな…と、手を出したのだった。

墨家については、ちゃんと本を呼んだことが無いので、漠然とした噂(他の小説に出てくる話として)しか知識が無かった。

戦争を忌み嫌う人々の集団である。
人が自分を愛するように府とを愛し、人類を愛すれば、戦争は無くなる、という考え方である。
自分と同じように他人を考えることが出来れば…二十一世紀のいまでも、充分人類の課題として成り立つな。

でも現実には戦争だらけ(墨子の生きた時代は中国の春秋戦国時代である)なので、『守る』徹底して『守って落とさせない』城を作ったのだ、彼らは。

だから、守城の専門家であり、軍事に秀でた戦略家でもあるという、墨家本来の理想とする「兼愛」とは真反対の活動により、平和を目指すという不可思議な集団となっていた…らしい。

『守る』といって約束すれば、たとえ城主が脱出しても最後まで城を守って戦い、刀折れ矢尽きたときには、全員枕を並べて自害したという。
激しい。
だが、故に、「墨家は信ずるに値する」という力を得た。

約束を破らないってこと、信頼を得るということは、簡単なようで難しいけれど、それが出来た時にはものすごい"力"になる。

ISBN:4101281122 文庫 酒見 賢一 新潮社 1994/06 ¥380

コメント

お気に入り日記の更新

テーマ別日記一覧

最新のコメント

日記内を検索