最近では「オーブリー」で検索ヒットするのね…すごい。
さすが、映画化の、そしてそれなりのヒットの影響は半端じゃない!

…で、小金が入ったので、ようやく読めるこの本である。
「出たら教えてね♪」
と頼んでおいたのに、スルーされてしまい、お陰で入手にえろぅ時間が掛かってしまった。

まあいいか。
今は至福の時。

前作は、ばーさんシップで、とおいとおい東アジアまで行け!なんて命令を受け、格上の敵艦に執拗に追い回され、吼える40℃(南半球喜望峰周辺名物・遭難多し)を死にそうになりながら突破して(ついでに敵艦沈めて)へろへろになりながらマレーシアまでやってきた。

…んだってこと。
すっかり失念してた。

で、いきなり。
これが噂のウォンバット!!(笑)
…と、確認しながら、笑いながら読み進む私であった。

しかし、エジプトの蛇とかより、はるかに親しみやすい可愛い生き物だから…大目に見たのだろうジャックもさ。
うるうるした目で見上げられたら、帽子のひとつやふたつはね…。

最初の舞台は、今でも海賊が出るので有名な、あの海域あたりである。
英国は、オランダを追い出して、英国がここいらに拠点を置こうと頑張っている真っ最中である。
そもそも16世紀末には極東の島・ジパングまで進出していたというのに、1623年のアンボイナ事件でインドまで後退を余儀なくされた英国である。(折角長崎に商館まで作っていたのにね。残念!)

そのかわりに東アジアの貿易を一手に引き受けたのがオランダだ。
口惜しかったろうね。
いばりんぼさんの英国としては。
で、今度こそは、シナという超大国をめざし、せっせとその足がかりを作らねばならない。
オランダがナポレオンの仏蘭西の支配下に置かれ、バタビア共和国なんていうおもろかしい名前になっている今がチャンスである。
「仏蘭西は敵だ」⇒「バタビア共和国は仏蘭西の支配下にある」⇒「バタビア共和国(オランダ)の植民地は仏蘭西の植民地だ」⇒「よって正々堂々とこれを攻撃して奪取してもかまわない」という理論である。
わけわからんな…。

ちょうど英国の東インド会社に書記見習いとして雇われたラッフルズが辣腕を振るって、海賊の溜まり場に過ぎなかったうらぶれた一漁村を拠点に足がかりを創り上げてゆく、その創世期に当るかと思う。

うらぶれた一漁村は、昔々獅子が棲んだという伝承の残る「シンガプラ」という土地であり、すなわちこれが、ここが、のちの、シンガポールなのである。

だから。
さきごろアメリカ資本に買収されちゃったホテルや銅像などにラッフルズと言う名が冠されているのだね。
書記見習いが銅像ですよ…自分の腕一本で。
たいしたものです。

本人は…家族(奥さんと子供?)を現地で病気でなくした上に、自分もまた病身で故国へ戻り、最後は脳卒中だか脳梗塞だか…まあ…いい晩年ではなかったようですが。(もともと偏頭痛もちだったようだ)

このラッフルズという人物が、仏蘭西以上にオランダ嫌いで有名で、そのあたり、ここに赴任して駐在している英国軍にもなにかしらの影が見えてくるのかな、と思ったりもするのだが。
さて、小説にはそこまでかかれるかどうか。
まあ無理でしょう。
とにかく、ジャックは忙しい。
いつまでも東アジアにじっとしてなんかいられない。

ま、どうせ我らがラッキー・ジャック♪には、拿捕賞金と愛しいソフィーの影しか見えていないだろうし。

ISBN:4150410941 文庫 高沢 次郎 早川書房 2005/09/22 ¥735

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