楽毅〈第4巻〉

2005年10月23日 読書
シリーズの最終巻。

中山国は滅んだ。
趙の執拗な攻撃の前に。
中山王は西辺の一邑を与えられ、最後まで死命を尽くして戦った遺臣たちは全国に散った。

ひとつの国が滅ぶ。
歴史上、数え切れないほどの国が滅んでいったのは確かだが、そのひとつひとつにその国を支えようとした人々がいたことを思うとき、国の滅亡、というものは、決して軽いものではないということが分かる。
どんな小さな国であってもだ。

さて。
ちっぽけな極東の国は大丈夫だろうか?

さて。
楽毅はどうするか…?

妻子と数名の部下を引き連れて邯鄲(趙の首都)へ。
そこで待っていたのは、仇敵からの仕官の誘い。
ところが、運命は皮肉である。
趙は前王(武霊王)と前皇太子、現王(恵文王)の間に生まれた愛情のゆがみが権力闘争に火をつけた。

中山国を完膚なきまでに叩き潰した趙の武霊王は、その恨みによって悲惨な死を遂げた。
中国統一に夢を翔けさせていた彼の王の、あまりにも悲惨な最期であった。

しかも下手人は実の息子だし…。

子供には、等しく愛情を注ぐべき。
また、執政者たるものは、世に広く賢人を求めるべき。
等々…学ぶことは多い。

楽毅が敬愛する斉の国の孟嘗君があちこちにちらちらと姿を現す。
孟嘗君贔屓の私はそれがとっても嬉しい。

ISBN:410400409X 単行本 宮城谷 昌光 新潮社 1999/10 ¥1,995

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