後宮に入る羽目になったわが身を嘆くまもなく。
自分ではなくエドの失脚を宣言するサジェことギュイハムの野望をくじくため、王子に気に入られる努力を怠らないカリエ(主役)。
なんか…理屈がちがうというか歪んでいる気がするが…まあいいか。

妙な展開がつぎつぎと訪れるのが楽しい。

飽きさせない小説だ、これは。

女の戦いは続く…トルコ旅行の話が書かれてもいて、この後宮の話に随分参考になったんだろうと思われる。

あちらはもっと凄惨だったと、歴史の本が証明している。
だから、カリエの経験は決して目新しいものではない。

キリスト教徒が攫われて、売られていくのは地中海ではよくあった話で、だから海に面してはものすごい要塞が作られた。
住民が、イザと言う時に逃げ込めるように。
それが運悪く捕まって、でも売られて行く先がトルコの後宮ならマシなほうだもんね。
それに、入ってしまえばそこで頂点を目指すしか無いし。

人間として、生まれてきた意味を問う、そんな境遇だけど、それしか生きる術がなければ、女でなくともそっちへ流されてゆくだろう。
男にだって、宦官、という道があったわけだしね。
この世界に、そういう職責があるんかどうかわからんけど、コルドの立場などは、どっちかといえば、宦官であるべきものじゃないかと思ってしまう。

王子とはいえ、ここまで近い、強力な側近というのはね…。

ISBN:4086147203 文庫 須賀 しのぶ 集英社 2000/04 ¥500

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