突如、異空間から現れる得体の知れない化け物たち。
奴らの狙いは、"人間を狩りつくすこと"

だから、人間は戦わなくてはならなくなった。
平和ボケした日本でも、それは同じ。

どこにでも現れる化け物は、その空間をすっぽり消滅させてから、そのかわりにその空間を占める…というような現れ方をする。
だから、どこにでも現れる。

家がつぶれたとおもったらそこに。
腕が吹っ飛んだと思ったら、そこに…。うげげ〜っ!…ですな。

そうやって憑依、ならぬ共生されちゃった人間は、"仲間を呼ぶから"ってことで強制隔離される。
でもって、"仲間(ただし異性)を探知するから"と言う理由で、訓練されて戦場に送られて兵士となる。
あ、いや。
兵士となって戦場に送られる、だな。本当は。
でもこの小説では、兵士になりきれなくても、子供だろうがサラリーマンだろうが、最前線に立たされている。

もちろん。
どれだけ戦っても買える場所はない。
相手を殲滅させれば、よりいっそうの数と量の敵が出現することが分かっているので、一定以上殺すわけにもいかない。
生かさず殺さず…そんなしんどい戦争を、共生された、というだけで、中学生や高校生ぐらいの男女が行きぬかねばならない世界。

シビアですな〜。
自殺したくなるのもわかる。
未来になんの希望もないもんな。

希望がなくても、時間がなくても、ちょっとでもやりたいことが出来るなら、まあまだガマンも、生きる意味もみつけられりょうが。
親兄弟からは一生はなれて、隔離されたモンスター出没地域での戦いのなかにいきてゆくだけだ。
とはいえ、自分が戦いを放棄すれば、モンスターは増殖し続け、やがて人類は滅びるしかない。
"人類"、は別にどーでもよくても、"家族"は嫌でしょ?
むざむざと、殺されるのをみてられないでしょ?
自分が戦える位置にいて、叩ける手段をもっているから。
だから戦う。

ただ、それはね…。
今の現状とあんまり変わらないね。
21世紀は戦争の無い世紀に!って(多分)世界中が希望をもっていたのに、無残にも打ち砕かれてるよ、まだ幕開けから10年もたっていないのに。

同じことなんだ。
今の世界と。
そんな戦いだから、もんのすごいヒーローもいないし、とんでもないメカも出てこない。
不死身かぁ?と思うような人もいない。

ただし、地面を這いずり回っても生きようとしている。

そんな彼らが、いかに戦うか。
今後楽しみな小説だと思う。

でもな〜。
子供は戦争に狩り出しちゃいかんですよ。
戦いを見せちゃいけないです。
なんだかんだいってもね。

ISBN:4044293015 文庫 高瀬 彼方 角川書店 2003/05 ¥660

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