推理小説なんだが。

救われない。
ホント、誰も救われないハナシだった。

気の毒、を通り越してしまうね。
あらゆるカップルは、裏切りと不運と後悔の、不幸のどん底に堕ちて行った。
若い野望も叶わず。
古い憧憬も果たされず。

これでは、いかにお釈迦様でも"掬い"ようがない。

200年前の海賊、ジャン・フリーク。
彼は、アメリカに許可証を発給されていたバカニア(国家公認海賊)だったが、最終的にはそのアメリカからも追われるパイレーツに成り果てた。
何しろ。
アメリカの商船を襲ったんだから、仕方が無い。

で、良くある話。
財宝を、
どこかに、
埋めた。

手伝った部下を、無理やり宝の倉の番人にしたてて。
(つまり秘密を守るために殺して埋めた)

その"埋もれた財宝"を巡ってのたくさんの人間の、欲と名誉にかられた、殺伐とした物語が始まる。

救い様が無い。
こういうのもありだろう。

だけど、人生に、ただ取りすぎてゆく人たちが、「死」という壁の向こうにどんどんと放り込まれてゆくのがいただけない。
まるで壊れたおもちゃを始末するみたいに…。

それとも、これが、アメリカの現実?

ISBN:4151745521 文庫 吉澤 康子 早川書房 2004/07/08 ¥861

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