この世には…

2005年8月5日 読書
不思議なことなんて無いのだよ。

某氏の有名な科白だが、これは作者の信念でもあるんだろう。

「続巷説百物語」

その中の一話がドラマ化されたように、短編とは言えその中味は濃い。

私は、同作者のレンガ本よりこっちの方が好きだな。
言いたいことが、はっきりしてるし。

不思議事。
不可思議事に目を晦まされて、人は本質を見抜けないでいる。
だが、だからこそ「幸せ♪」ってこともある。

その辺を加減乗除するのが小股潜りの叉市。

レンガ本が、京極堂の重い腰を上げさせて、気の進まぬ「お祓い(謎解き)」をさせ、事実関係を白日の下に晒して関口以下普通の人々を驚愕させるものであるならば、「巷説…」はその逆。

人の、心の納まり具合のよいように、納めてしまうのが心憎い…というか、勧善懲悪では無い、理不尽な世界に生きる身には却って心良いのである。

心・酔い。
とでも言うべきか。

登場人物の背景がそろそろ見えてきて(肉が付いてきて)、そちらも楽しみのひとつである。

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