欧米の旅 (下)

2005年7月28日 読書
この重厚な本もようやく最終巻にきた。

第二次世界大戦の、きな臭くなってきた頃に日本を出て欧州へ。
(これが船旅だと言うから羨ましい)
そして、「さすがにこれは不味い。日本に帰国すべし」とアメリカ経由で帰ったという、夫君との二人旅を綴ったエッセイである。

博識にまずは驚く。
そしてその会話能力。
鋭い観察眼。
批判精神。
なによりも、萎縮していない。
欧州の文明に、けっして卑屈になっていない彼女の姿がすばらしいと思う。
(だって、戦前だよ。昭和10年前後だもの。彼此の違いがどれほどあったのか、想像すらできないのに。)

作家とはいえ、すごい。
同性として、すばらしい人だと思う。

旅行エッセイを書こうとするなら、これぐらい頭に教養を入れておくべきなのだろう。

ISBN:4003116534 文庫 野上 弥生子 岩波書店 2001/08 ¥798

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