もう20年だ。
企業戦士の死、とか、ひと夏がその話題で沸き返っていた。
あれから20年か。

お盆の前の、夕方の、東京ー大阪間、という集中路線。
満員の飛行機が迷走し、痛ましい墜落…。

暑さを吹き飛ばすほどのショックを受けた事故だった。

あれから20年。
今頃何だろうか、と思った。
まさか、これほどの疑問が、あの事故に(というよりも事故の後のこと)に遺されているとは思いもしなかった。

勿論、この本のすべてを鵜呑みにはしない。
物事には表裏があり、どこに立つかで見えるモノは180度変化する。

だけれど、さまざまな疑問を提起することは、間違いではあるまい。
そこから何を取り、何を捨て、どう判断するかはその人の責任であり自由である。

捜索隊のこと、錯綜する情報のこと、事故後2時間で駆けつけていた米軍の救助隊が黙って撤退したこと。
そのウラに、ちらちらと伺えるのは、この日本という国特有の意識、所謂、島国根性ではないだろうか。

政治的に、意図的に隔されるもの。
それは人の命よりも重いというのだろうか。

あの時に、救助が出来ていれば、遥かに多くの人が助かった。
それは現地で遺体の処置に当った医療関係者の証言だという。

もともと日本という国は、名誉を重んじる国だ。
それはよくもありあしくもある。
時にはたった一つの命よりも、名誉を体裁を重んじる。
だがそれは、自分の命ではない。
大抵は、えんもゆかりも無い他人の命だ。
他人の命を自分の名誉と比べるだなどと、なんというおろかな狭量な考えだろうか。

事故に限らず、大きな自然災害が起きた時、果たしてこの国は国民のために動いてくれるのだろうか。
実際あの阪神大震災のとき、国の公的機関は、何をしてくれたか。
即座に動いたか、救助の手を差し伸べたのたか。
手を差し伸べてくれる隣国(中国・韓国という地理的な意味ではなく)に対し、なんといったのか、どんな返答をしたのか。
…私は覚えている。

今後なにかあったとき、この国は、まともにうごくのだろうか?

そんな不安を掻き立てられながら読んでいる。

ISBN:4796646671 単行本 米田 憲司 宝島社 2005/06/23 ¥1,985

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