シビアっちゅうか、ワイルドっちゅうか、シニカルっちゅうか。
…………………………………………………………………………

主人公は、無茶苦茶見目良い女性。
実は、鬼畜、じゃなくて、銀符。
…と言う名の悪魔の遣い。

その弟で従者で侍符。
…と言う名の護衛。

同行者には、神の遣いを称する武闘僧侶がひとり。

…なんでだ?

銀符とは。
悪魔との契約により、"より邪悪な魂を地獄の糧にするために狩る人間"のこと。
その"力"となる炎の鷹を、胸に刻んでいる。
だから、魂は邪悪であればあるほど良い。
悪人は極悪人であればあるほど良い、というなんだか救われないハナシである。
せっせと獲物を見つけ、地獄に送ることで、悪魔に叶えてもらった"願い"の負債を払っているのだ。
つまり。
せっせと借金払ってるわけね。

こんなそんなで、3人のおかしな旅は続くのだった。
人間のエゴとか裏面とか、心のダークサイドをしっかりと踏まえて、生きてゆく彼らには、未来が無いように見える。
だって、悪魔の遣いと神の遣いと、○○○だもんなぁ…。

だけど、人の人生は、人の生きた道は、その人の"生きる力"の証だから。
甘ちゃんじゃなくても、やさしさは持てる。

"私のルール"をしっかりと持てば、この世もそんなに悪いもんじゃない。
そう。
流されるのではなく、しっかと自分の二本の足で立てば。
自信ももてるし、目線もあげられる。
生きても行ける。

(神・善・正義などを)強く否定すればするほどに強く肯定するような、(信じることなどを)拒否すればするほど受け入れてしまうような、なにかしら力の湧き出る物語である。

本当に、この作者、変わった視点で物語を作るなぁとしみじみ思う。

ISBN:4785922397 コミック おがき ちか 少年画報社 2002/09/27 ¥520

+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++

「お江戸」研究家で文筆家、そして漫画家でもあった、杉浦日向子さんの訃報を、私が知ったのは、今日のお昼ごろだった。

この方の「江戸」漫画は大好きだ。

優しく、そしてからっとした、いかにも「江戸っ子でぃ!」という科白が飛び出してきそうな物語が好きだった。

NHKの「お江戸でござる」での彼女の解説も、笑いながら感心しながら見ていたものだ。

癌であるとのこと。

一番口惜しいのは勿論、本人だ。
だが、我々も口惜しい。

若い人が、そして若い才能が、どんどんと失われていく空虚感を、我々はどうしたらいいのだろう?

ご冥福をお祈りいたします。

コメント

お気に入り日記の更新

テーマ別日記一覧

最新のコメント

日記内を検索