挿絵画家 M・ゾーバの展覧会で入手した二冊目の絵本。
絵が目的だったが、呼んでみると、このアクセル・ハッケという作家は中々に面白いものを書く。

大きなすがた(つまり大人)で生まれて、だんだん年とともに小さく(=子供に)なってゆく。
そして、いつしか、誰の目にも見えなくなる。

人差し指のサイズしかない小さな王様は、自分たちの一生をそう語る。
そのほうが自然だろう?
と。

年とともに色んなことをどんどん忘れて、仕事を離れて、遊ぶことや何もしないでいること、なによりも物事を忘れてゆくことに身を任せる。
これが普通なんだ、
と。

むぅ〜ん。
それって…いいかも。

責任も、義務もなくなって、忘れて、好きなことだけしてやがて消える。
実際の人間だってそういうものだ。
年とともに、忘れていくべきなのだ。
なにもかも。

子供の頃に出来たこと〜想像すること、活動すること〜が年とともに出来なくなるのは、おかしい。
小さな王様は言う。

やればいい。
出来るはずだ。

やらないだけなんだ。

大人の絵本。
最近とみに読者が多いのは、私たちが幼かった時出来たことを、今一所懸命思い出そうとしているせいだろうか?

ISBN:4062083736 単行本 ミヒャエル ゾーヴァ 講談社 1996/10 ¥1,365

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