ロシア語同時通訳者、米原万里氏の新刊である。

犬1匹と猫2匹、そして人間の…雑居。
自分の近況をそう語ったとき、著者が言われた科白が本の題名になっている。
「そんなことより、早くヒトのオスを飼いなさい。ヒトのオスを!」

…なんて言ってしまう恩師ってのも凄いよね。
有り難いんだろうけれど。

すべてひろった犬と猫。
そのいきさつと、動物たちへの愛情と、自分がとるべき態度と。

スキンシップ、いやアニマルセラピーに通じる記述に思わず心も動かされてしまう。

ところで、中世のヨーロッパでは、犬猫を含む動物の裁判があったという記述がある。

教会の重要書類を食べたヤギ夫妻 ⇒ 鞭打ちの刑
果樹園を荒らしまわった豚の親子 ⇒ 蒸し焼き
麦畑を荒らしたイナゴの一団 ⇒ 火刑  ……だが、全員を逮捕できず(当たり前だ)、刑の執行は中途半端になってしまった。

こういう記事がちゃんと残っているのだそうだ。
どこまで真面目にやっているのか、どこまで冗談なのか、理解できないけどね。 

たしかに、現在でも、人間に危害を加えた動物は即射殺・毒殺だ。
クマとか猪とか…逃げ出した虎とか…。
同じことなのかな。

おまけにここに出てくる獣医氏は、
犬の飼い主は普通。
猫の飼い主は非常に変わっている。(変人)
鳥の飼い主は一本ネジがぶっとんでいる。(異星人?)
と分類する。

……なんとなく、納得できてしまうところがすごい。
飼う動物に似るんだよ、きっとね。人間だって、えさをくれるヒト(=親)に似るって言うからさ。

ISBN:4167671034 文庫 米原 万里 文藝春秋 2005/06/10 ¥650

コメント

お気に入り日記の更新

テーマ別日記一覧

最新のコメント

日記内を検索