帰りのNWAで…(略)
…読み始めた。

写真に興味のない人でも、それなりに知っているはずの、知名度の高い伝説的写真家。
戦争の"現場"にその身を置き、「一瞬を切り取っ」てきたロバート・キャパのエッセイである。

常に免職(クビ)と闘いながら、第二次世界大戦の戦場をカメラとともに渡り歩く彼の、肩肘張らない文章が面白い。
戦場に、前線に行ってしまえば、会社もクビを実行できない!というような切羽詰った、そしてどこか滑稽にも思えてしまう彼の生き様が、面白く、魅力的でもある。
(本人は大真面目で必死なので申し訳ないのだが、深刻さを感じさせないのが彼の文章なのである)

戦場のどうしようもないむごさとかやるせなさとかの複雑な感情を交えずに、まさしく"ファインダー越しに事実を見るのみ"の文章で語っているところが、決して淡白というのではなく、乾いた読みやすさを持たせているのかも。
感情移入すると、何も見えなくなることが多いからね。
報道写真家は、それでは駄目なんだろうな。

1954年5月、ベトナム戦争只中のハノイで地雷によって死亡した時、わずかに41歳。
若いとは思っていたけれど、まだ、たった、そんな年だったとは。
ちなみにスペイン戦線で一緒だった(!)A・へミングウェイとは養子縁組していたと書いている。

人間の係わり合いって面白い。

ISBN:4167216019 文庫 井上 清一 文藝春秋 1979/01 ¥550

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