真昼の星空

2005年2月7日 読書
たまたま立ち寄った本屋で、たまたま新刊コーナーに並べられていて見つけた。

グッドタイミング☆

著者はロシア語通訳者。
その辛らつであけすけで力のあるエッセイはとても楽しいのだ。

「真昼の月」はいかにも薄ぼんやりとして、力なく、頼りなく、今にも消え入りそうなイメージである。
では、「真昼の星空」はどうだろう。

女流詩人オリガ・ベルゴリツの自伝的エッセイ「昼の星」からその題名を貰い受けたのだ、と前書きにもある。

真昼の星。
太陽の厳しい光にさえぎられてみえないが、そこに必ず存在するもの。
存在することがわかっているもの。
だが、それも普通である我々の眼には見えないのだ。
決して。
そして、忘れ去られもする。

必ず、満天に散りばめられて存在する、星々。
普通の目には見えないものよ、それゆえにあたかも存在しないものよ!わたしを通して、わたしの魂の奥底の、もっと澄みきった薄暗がりを背にして、あらん限りの輝きを放ちながら万人の目に見えるものとなるがいい

普通にしていては見えないもの、当たり前と思っていては判らないもの、探求することを、そして想像することを忘れてしまったものには決して見えないものを、私も見つめたい。
そう在りたい。

忘れるのは人間の勝手であり、その存在がなくなる訳ではないのだからね。
それは常に、存在している。

…さて。
それでは、著者の楽しい旅に、同行させてもらうことに致しましょう。

しばしの夢を…そして、真昼の、満天の星々をたずねる旅です。

ISBN:4122044707 文庫 米原 万里 中央公論新社 2005/01 ¥620

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