おれは直角 (1)

2005年2月5日 読書
私の持っているのが最初に出たコミックスだったので、レビューの画像にいささか驚いた。
そうだよね。
初版は昭和51年だもの。
30年近く前の話か。

小山ゆうといえば、「がんばれ元気」とか、他にもヒットを飛ばした漫画家なので、知らない人はいないだろう。
でも当時、この漫画が出たときは、さほど有名でもなかったのだ。

この作品がいかに衝撃を与えたか。
当時の教師すらこの漫画を読むことを進めたぐらいだったから、半端ではない。

漫画がメッセージをもっている。
笑い、悲しみ、共感するだけではなく、何を言いたいのかがはっきりしている。
笑いの中に、人間の優しさと、喜びとがたくさん詰っている。
社会が激変した現在、再び読んだとしても、なんの遜色もない。

そもそもこれは江戸時代の後半、長州藩の藩校・明倫館を中心にした話である。
勿論、長州藩も明倫館も実在した。

登場するのは、侍の子供たち。
ゆくゆくは藩の中核となって重責を担う立場に立つはずの、身分の高い武士の子弟…のなかで、身分も低く、やることも桁外れの主人公が活躍するという物語である。

社会の約束事はいつの時代にもあって、姿を変えているだけで厳然と存在している。
その約束事を、悪いことは悪いのだと、改革すべきは改革すべきであると、それを小難しい理屈ではなく行動で顕わすのが主人公である。
今、学校という社会でも、大人の社会でも、そこまで行動できる人間がいるだろうか。
当時はいただろうか。

そこにこの漫画の魅力はある。
笑いながら社会を変えてゆける。
それは素晴らしいことだ。

「どんな時でも、笑いはいつも人を明るくする」
どんな絶望も、笑いが吹き飛ばすのだ。

真理だね。

ISBN:4091930115 文庫 小山 ゆう 小学館 1996/12 ¥610

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