呪われた航海

2004年12月27日 読書
夜中に寝つきが悪かったがために、ちょっとと思って手を出したのが運のつき。
とうとう読破してしまい、睡眠時間は3時間に満たず…。
月曜日なのに…。

18世紀末。
英国はコーンウォール地方の小村・ペンデニス村。

嵐の日、
風の強い日、
波の高い日、
新月(暗闇)の日、

この村では奇妙な現象が起こる。

目のくらむ崖の上に、村人が集まり、嵐の中、風の中、雨の中、じっと沖を見つめるのだ。
そして、岬に近づく帆船を追って、右に左にと幽鬼のように動き回る。
これを不気味といわずして何といおうか。
法律では、難破船のものは何でも自由に回収できることになっている。でも、それが難破船と認められるには、生き残りがいてはいけないの。人間であろうと動物であろうと。もし、ひとりでも、そう、もしイヌ一匹でも無事に岸にたどりついたら、もうそれは難破とは認められない。

…であれば、どうなるか。
考えるまでもない。(コワイですねー)

法律があるから「怖いことが」起こる。
そんな法律があるから、貧しい寒村に住む人々は幽鬼にも悪魔にもなるのだと。

船乗りになろうとした主人公の少年が、まさにこの岬で難破したのは村人たちの行った「恐ろしいこと」によってである。
その「恐ろしいこと」によって、過去に起こった犯罪の真実を再び辿ることになろうとは。

こういう殺人罪に匹敵する違法行為が歴史上行われていたことは周知の事実である。
ゆえに非常に薄ら寒い感慨を覚えつつ、一気に読みきった。

字の大きさは「子供向き」とも思える作品では有るが……ショックで悪夢にうなされるのではなかろうか。
そういう気もしないではない。

ISBN:4652077033 単行本 三辺 律子 理論社 2001/09 ¥1,575

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