前の既刊。
「京都人だけが知っている」
「やっぱり京都人だけが知っている」

と、それに続いて出たばかりの本。

選民意識に酔いしれて書かれた本か?
と問われそうだがそうではない。

特に1冊目、「京都人だけが知っている」に至っては、京都人のほとんどマゾ的傾向をよく顕わした本である。

だから、京都人をけなすものが京都人に受けた。

でもね。
それが、やはり「京都人」のブランドなんだわ。
けなすにも「けなし方」と言うものが有って、けなす場所と具合を間違えると、京都人は一斉に向こうを向く。
この人は(自称)たかが3〜4代の京都人とはいえ、その点はよぅくわかってらっしゃる。

簡単に言えば、
「京都人以外が京都をけなすと、単なる悪口になるからやめておけ」
そういうことだ。

さて。
著者によれば、この3巻目は既刊の2冊とは趣を異にしているのだそうだ。
イらんモンはイらん

観光客倍増化計画
なんてものを掲げてがんばる京都市に、真っ向から…ではなく、斜め後ろからボソッと呟く「京都人の本音」
それを過激に綴る一冊なんである。

さあ、叉この本も、京都でだけ売れ行きトップ!現象を引き起こすだろうか。(前冊がそうだったのだ)

前文で、京都文化検定試験の隆盛について、
この試験を受けるべきは、京都をよりディープに愉しみたいと望むよそさんのほうではないか。最低でも車を転がしてくるよそさんたちは合格しないと入洛できないことにすればいいのに。もしくは「洛中税」の導入だな。思い切りボッてやりゃいいのに…。紅葉シーズンの嵐山やゴールデンウイークの「清水寺」に自家用車で突っ込んでゆく他府県ナンバーを目にするたびにそんな妄想に駆られる。

よそさんとは、京都人以外のひと。つまり他府県の人。
観光時期に京都に来た人には判るだろうが、京都は町も道もせまい。
市内のほとんどが一方通行である所以である。
もちろん、大きな駐車場なんかを作るスペースもない。

…そういうところへ、ただでさえ、人が増える観光時期に「他府県」から「自家用車」で乗り込んでくるとどうなるか?

身動きの出来ない渋滞。
事故の危険。
いらいら等精神的な抑圧。
観光客の中には、「こんなとこ、二度と来ない」
という科白の一つや二つもでて当たり前だろう。

そして、なによりも、そこで生活する京都人に多大な迷惑・困惑を引き起こすのである。

でもって、そういうときに出てくる、
「観光都市なんだから地元は我慢しろ」
なんていう科白を、我々は甘受する気はない。

そうまでして「イらん」。
そんなことを言う観光客なんて「イらん」。
京都の町や人のことも考えて「京都を愉しんでくれる」「京都に来て、イライラすることもなく『嗚呼良かった、叉来よう』と感じてくれる、そういう人がリピーターになってくれればよい」

京都人自身をけなす本は京都人には受けたけれど、他府県人のいくらかを「イらん」とこき下ろす(らしい)この本はの命運は?

…とっても、とっても楽しみである。

ISBN:4896918738 新書 入江 敦彦 洋泉社 2004/12 ¥798

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