建築家探偵が読めたので次へ移る…前に、「失楽の街」についてふたことみこと。

犯罪が、嘗ての赤軍派だったり爆弾事件だったりとあまりいい印象を与えない。
いや、犯罪でいい印象も悪い印象もないものだが、イメージがね。暗すぎるって言うのか?
私も、既にこの世に生きていたとはいえ、さほど知っている時代ではない。
彼らの心情も矢張りわからない。理解できない。
「遠い外国で戦乱や飢餓に苦しむ人たちがいることを気の毒に想いはするが」
「自分ちの猫が病気したほうが、人間は、より悲しいだろう。」
"遠くの他人よりも近くの身内"に感情は強く動かされるものだ。
それを利己的と非難できるだろうか?
偽善でならできるかも…なんて、喧嘩を売るような科白はあまり吐くものではない。

恨みが、広がって、やがて跳ね返って自分にかえる。
その様は良く見せてもらった。
でも。
それを自分の中で消化できてこその"人間"なんだから。
「甘ったれるな」なんて陳腐な科白は言いたくないけれど。

ラストは、読みながら思っていたよりも、遥かに清々しく終わったと私は感じている。
ちなみに、桜井京介の最後の細工は、もしかしたら、賛否両論分かれるかも、と思う。
引っかかるようならちっとも"清々し"くないわけだ。

それは、あたかもシャーロック・ホームズ的な"ささやかな"トリックなのだが…何分、ホームズものは幼少時には受け入れられないものを多く含有している。
そこそこ社会を知って世の中を知ってくれば、拍手喝采してしまう要素なのだが、私自身もホームズものに傾倒したのは高校の頃からで、それまではもっぱら"ルパン"だったしな。

ひとはいさ こころもしらず ふるさとは 

はなぞ むかしの かに にほいける


で。
次は二階堂蘭子さんの事件簿に移るわけである。
なんだか江戸川乱歩してます…本の装丁・文字からして。

おまけに、またしても誰かさんのような、読みにくい函型文庫だし!!
『読みやすい』『手にとりやすい』本を作ることを、ちったあ心がけて欲しいものである。

ISBN:4061823981 新書 二階堂 黎人 講談社 2004/10/07 ¥1,890

コメント

お気に入り日記の更新

テーマ別日記一覧

最新のコメント

日記内を検索