中国の長江、といえば、日本で呼び習わされたのは"揚子江"である。
正式には長江。
その昔には、甲羅の上に家屋が建つほど大きな"緑の亀"が棲んでいるとかいないとか、噂されたあの、大河である。
(冗談ではなく。真面目な官僚の赴任地への旅日記に書かれてあるのだ)

遥か西の山脈から流れ出した一筋の水が、街を飲み込むほどの大河となって大陸を横断し、やがて東の海に流れ込む。
その旅路を、「源泉を求めて」と昔NHKがやっていたが、潤沢な資金をもつNHKでもなけりゃ、やってられないような手間暇金がかかる旅立だった。

勿論、番組は面白かった。

著者である竹内実氏は、先に黄河を遡るたびを記した御仁である。
開封や洛陽・西安と旅をしている。
今回は、(なんと!)西安の西、五丈原から四川に入る。
そう、かの昔諸葛孔明が先帝の志を成し遂げんと、魏を伺ったそのルートを逆行しての旅の始まりである。

四川省からは長江を下って重慶・宜昌、そして南京から上海へ…。

その旅路での目に入るものを記す旅行記なのだ。
写真も見ごたえがあるが、なにより地図が豊富で、見ていて実に楽しい。

ああ、やはりもう一度、ぜひ中国に行きたい(それも奥地に)…と余計な熱を再発させた困った本である。

ISBN:4022598220 単行本 竹内 実 朝日新聞社 2003/02 ¥1,470

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