「旅するカメラ」の続編である。
実は作者がサイトで書き溜めていたエッセイを、選んでまとめた本であることが、先の本でわかった。
読んでいるうちに、自分もカメラがほしくなってくる…そんな麻薬のような本である。

有害図書??

専門学校にはいるなり教化される「カメラはニコンかキャノン」病。
そういう人が世に満ち満ちていることも実感としてわかる。(違うメーカーだと、あからさまに侮辱する人がいたりして)
写真はメカじゃないだろぉ?
と口に出していえる腕じゃないところが哀しいのだが。

今までで一番面白かったのが、
「お買い物ー幻のスーパーアンギュロンー」
という項で、作者である写真家が幻のスーパーアンギュロンレンズを入手するまでの話。
その導入部に、レモン社というカメラ好きなら誰でも知っているお店の話が出てくる。
日本だろうとパリだろうと、カメラ好きの"おやぢ"が、密集する、同じ光景が見られるのだという。

ポマードの匂いで満ち。
ショウウインドウにはおでこと鼻の油のあとが……。
ほとんどの人が買うために来ているのではなく、ただただ見ているだけ。お目当てのものはたいてい、安くても10万円はするからおいそれと変えるものではない。だけど気にはなるから毎日来ては店頭をチェックする。(中略)
意を決して購入するときは、「クレジットの確認は家ではなく会社のほうに。くれぐれも日中は自宅に電話しないでくれ」と念を押し、買ったブツは自分のカバンに入れて持ち帰る。お店のロゴが入った袋など言語道断である。家に帰ったらそっとカメラの前棚に紛れ込ませ、家人への隠蔽を謀らねばならない。店で漏れ聞こえてくる店員と客との会話は滑稽でちょっと泣けるものがある。

OLのおやぢ化が言われて大分経つけれど、確かに、このおやぢさんたちの、カメラを買うその気持ちがわかるような気がする。
…といったら、矢張り問題だろうか?

本格的にカメラ、ほしくなってきたなー。

ISBN:4777901505 文庫 渡部 さとる 〓@53B2@出版社 2004/07 ¥683

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