十二夜

2004年9月6日 読書
古い漫画の単行本を友人から譲りうけた。
その中でも懐かしく、楽しかったのが、この本。
(単行本は絵が出ないので、文庫版で代用)

場所はイタリア。
時代は中世。

シェークスピアのどたばた喜劇に良く似た、愛と笑いの一幕である。
イタリアの、とある公爵の支配する街で、男と女を取り違え、兄を妹と取り違えて興る喜劇を、恋と洒落の軽いテンポで描く。
小気味良い作品である。

森川久美は、「南京路に花吹雪」など中国近代モノもよいけれど、やはりイタリアの情熱と、その裏にこびりつくような暗黒面(ダースベイダー?)の対比がとても魅力的に描ける漫画家である。
中国近代モノは、時代が時代だけに、明るい結末は…あまり望めない。
戦争をしている、という時代設定だけで、既に悲劇である。
喜劇にはならない。

そこへ行くと、「人生は楽しみに」費やすイタリアンな物語、その風を感じることのできる諸作品は、人を惹き付けて止まない。
なかでもこの作品は最高の出来上がりである。

イタリアといえば、彼女の描く「ヴァレンチーノ」シリーズも良いけれど。
あちらはストーリーが真面目すぎて、しっかり中世期を反映して暗い。
陰謀とか政争とか露骨に現実面が出てくるので…。

そういうのが好きだった若いときとは違い、今は気楽に気軽に楽しめるのがいいな、と思う私である。

ISBN:4063604950 文庫 森川 久美 コミックス 2003/03 ¥630

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