以前一度挙げた本なのだが、今読んでいるあたりが一番面白いので、つい…。

詩経など、中国古代の歌にはいくつもの内容・性質の種類(風・雅・頌)と、修辞法による分類(賦・比・興)があり、というくだりでの一文である。
【興】という字の上の方はね。中に同と言う字を書く。これね、同という字は、お酒を入れる筒形の器です。これを両手で持つ、両手で捧げる、それが「興」と言う字になる。それでね、両手でもってお酒を注ぐというのが「興」という字なんです。酒を地に注ぐのです。

それを行うという場合にね、まずその土地の神様を安んじて、鎮めなければいけない。土地の神様を鎮める時に、この「同」という盃にお酒を入れて、みんなでお酒を振り注いでね、地霊を慰めるんです。

ほらほら。
今時のお嬢さんたちが喜びそうなお話ではないですかな?

地霊を鎮めて眠らせるのではなく、目を覚まさせてどうするのかと言うと、起こすことによって、自分たち(人間たち)の声に応えてくれるようになる、そういうことなんだそうだ。
だから「興」と言う字は、
あるものを歌うことによって、その持っておる内的な生命を呼び起こすというのが「興」なんです。

すなわち、
   唄う⇒唄われていることを願う⇒唄われた願いが実現する

ことにおいて、立派な呪(術)ということなのだろう。
真ん中すぎから後半にかけて、全編この調子。
漢字が持つ意味、その形象の秘めるもの、などなど楽しい話が目白押しになってくる。
【言葉は呪】
その謎を、その理由を、読みながら感じることが出来る楽しい♪本であった。

白川静先生の「辞書」が面白いはずである。

しかし、中国史は矢張り「孔子」をやらなきゃいけないのか…がーん。「老子」の方が遥かに好きなのに、白川・梅原両先生に断定されてしまうとは…。
ちなみに対談形式で話が進む、この本。
聞き手の編集者もタダモノではナイ、と見た。

ISBN:4582831214 単行本 梅原 猛 平凡社 2002/09 ¥1,890

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