怪しい漢方薬局の怪しい薬剤師・桑原祟が解き明かすシリーズ物の3作目。
「百人一首」「六歌仙」ときて、今回は、ミステリーの古典とも言うべきシャーロック・ホームズへ。
大体このシリーズは、何が題材に選ばれているかで出来不出来(好き嫌い)がはっきりする。

今回はシャーロック・ホームズ。
物語の出来はまあまあよろしかろうと…というのも、私がホームズ物のファンであるせいかな?
(違う部分で楽しんだのかもしれない)

ストーリのなかでサイドストーリーとして語られるホームズの謎は、なかなか奇抜で面白かった。

なるほど、それもありか、と、真面目に喜んでご高説を拝聴した次第。

WHO IS S・H?

ふんふんなるほど。
そういうプロットも考えられるのか、と純粋に楽しめる作品である。
(あ、やっぱり主筋と違うところを楽しんでしまったようである)

しかし。
日本でのシャーロキアンの活躍も活動も、大昔から知ってはいたものの、そこまで入り込めなかった私の一歩引いてしまう気分が、この小説で増幅してしまったのは確か。
ううう…そこまでマニアックにはやれない…。
とても無理…。
私の場合は、単純に"その時代性と物語を楽しんでいる"だけだもんなぁ。

まあ、ここまで、この小説に出てくるほど、犯罪に結びつくほどに酷くはあるまいが。
でもね…ちょっと引いてしまう。

いえいえ、彼らを悪く言う気は全くないのです。

なにしろ、
「シャーロキアンは、最も心の広いミステリーファン」なのだそうだから。

次は「東照宮」。
かの家康公が国家鎮護の神となって鎮座ましましている、霊験あらたかなる場所であるからして、相当の事件は覚悟すべきか。
……そりゃぁ、言われるまでもなく、呪、だろうね。

日光が江戸の鬼門、あるいはその後ろ盾(守り神)として存在することは既にたくさんの人が述べていることである。
だが、その日光を一つの手段として、もうワンレベル上の呪を創造しようとは。

論理としては非常に面白い展開であった。
が、連続殺人事件、その探偵ものとしての物語性は、ちょっと堕ちる。
これでは裏の歴史考証本である。
そちらに重心が偏りすぎて、犯人の描写がイマイチ。
犯行の理由としてはイマニ。

ミステリーとしてではなく、歴史の裏を考証する物語として読むべき本であろう。

作者は主題にのめりこみすぎるのかな?

日本の呪術に詳しい、私がファンである小松先生を始めとする、"その手"の研究者のお名前などがぽんぽん上がってくるのを、にやにやしながら読み進んでしまった…。

ISBN:4062738449 文庫 高田 崇史 講談社 2003/09 ¥650

コメント

お気に入り日記の更新

テーマ別日記一覧

最新のコメント

日記内を検索